第2章 心も女性に

第1話 膵臓がん

 俺は、お腹の調子があまりに悪く、医者に行ったら膵臓がんのステージⅣと宣告されたんだ。そして、余命は半年と宣告された。まだ大学生なのに、もう俺の人生は終わってしまうのか。俺が何をやったっていうんだよ。


 俺は、日本の高校野球界では名が通った選手で、大学にも推薦入学し、プロを目指してきた。そんな時、あと、半年以内に死ぬんだって? ひどいだろう。


 また、野球ばかりの人生だったから、女性と付き合ったことはない。周りの男性は、彼女ができたとか、彼女とやったとか、楽しそうにしていたが、俺は、毎日、野球しかやってこなかったから、そんな姿を羨ましく見ていた。


 でも、プロになれば、女性なんて、誘わなくても、わんさと俺に集まってくると思って、日々を過ごしていた。でも、こんな俺じゃ、誰一人として、俺の誘いに乗ってくれない。すぐ死んじゃう人と付き合いたいなんていう女性はいないだろうから。


 人生、別に女性と付き合うこと以外にも、楽しいことはいっぱいあるのかもしれないけど、今は、女性と付き合ったことがないということを一番悔やんでる。


 今日は、やけ酒だ。1人で安い居酒屋に行き、とことん飲んでやった。でも、不思議に酔えなかったんだ。そして、酔いながらも悲観して夜道を歩いている時に、あのおじさんと出会った。もう、どうでもいいと思い、人生をやり直すために赤い薬を飲んだ。そして意識がなくなった。

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