第45話 結婚式

 ニコールさんとご家族は、二週間位つまり王都の手前あたりで馬車隊と合流するまで、日本に滞在することになった。

 今はどこでも監視カメラがあるため、認識阻害とカメラに写らなくなる特性を腕時計に付与してニコールさんととご家族にくばった。異世界の人はMPを多少なりとも持っているため、作動させられるのだ。

 これが、日本の一般人向けなら、魔石とオンオフスイッチがいるだろう。

 付与しやすい宝石がついた腕時計は、(綺麗なガラスにも付与できないことはない)高級なので、全員分だと恐ろしい額になった。

 パーペチュアルのにしたが、ニコールさんのお父さんは感激していた。

「こんなに精緻な工芸品は、国宝級と言うか、王宮にもないでしょう。こんな貴重なものを貰っていいんでしょうか」

「どうぞどうぞ」

 慶子ちゃんが、ジトーとした目でみてくる。あなたにも有りますよ。慶子ちゃんは有名人だからね。

 スカイタワーや浅草寺など観光地を巡り、水族館や動物園にいった。

 高い所は苦手らしく、窓には近づかないようにしていらっしゃった。

 水族館や動物園は、珍しいようで特に水族館はどのように飼育しているのか不思議だったようだ。

「人が多いですね。目が回りそうです。建物も塔も大きくてびっくりしました」

 テレビもそうだが、街中の大型ビジョンや、立体的に見える猫の映像など驚いていた。

「中に人が入っている訳ではないですよね」

 入ってないんですね。これが。入ってたら巨人ですね。

 それと道路が固いので、歩きにくそうだった。服装はこちらの服を着たら、イケオジになっていた。サイズを計ってオーダーメイドで作ったらいいかも知れないと、高級なお店で作った。靴は、足形を取って貰った。

「車?も速くて、電車も音がすごい。飛行機?は羽ばたかないのに魔法だけで飛ぶんでしょうか」

 ドラゴンは、八割くらいは魔力で飛ぶんでしょうね。

 慶子ちゃんのご両親の都合に合わせて、結婚式をすることになった。次の日にニコールさんとの式にしようと思ったが、ご両家の御本人ご家族(もう訳がわからなくなっている)が一緒にやりたいとおっしゃったのでそのようになった。

 ウェディングドレスはレンタルだが、これも採寸してオーダーメイドで、購入することになった。それとなんと、和装もやりたいと言うことになり、これも購入を考えることになった。 

 ニコールさんのご家族も和装したがっていたので、おめしかえのために、スタッフを数人頼んだ。ヘアメークのスタッフ、お花のスタッフ、ケーキ、ケータリングなど大変なことになった。

 写真の前撮りから当日撮りなど本当に大変だったが加納さんや、お仲間の諜報員の方々が頑張ってくれて、アルバムやら、撮影関係、デジタル関係はえげつない出来になった。

 アモールも出てきて、ふわふわ飛んだり、手を繋いでふわふわ飛んだり、何故か神父役のティアちゃんとふわふわ飛んだりした。子連れで結婚式をするみたいでおかしなことになっていた。俺の右手にニコールさん、左手に慶子ちゃんが手を繋ぐと言う日本の倫理的におかしい写真すらあった。

 俺ももとの姿にアモールに昔の写真を見せて、昔より少しイケメンに戻ったり(それを戻ると言うのかわからんが)、愛子の姿になったり、その姿で4枚の羽を出したりした。

 和装にもなったので、もう何枚撮影したかわからない。何通りにもにもなるからだ。

 一番すごかったのは、全員でふわふわ飛んで撮影したのが凄かった。

 無重力?まるでピーターパン状態と言える。それでいてワイヤーとか、手品の種とかないのだ。

 最後は皆泣いていた。料理もバクバク食べていた。お腹も苦しくなっていた。

 スタッフの中で認識阻害とカメラに写らなくなるアイテムがほしいと言う人がいたので後で作っておいた。絶対諜報員の人だと思う。

 そんなこんなで、結婚式は混乱のうちにつつがなく終わっていった。メイキング映像は、色々なことが時効になったら世に出るかもしれない。皆さんはそれを待っていてほしい。

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