第35話 限界突破
「これをお納めください」
「何これ、綺麗」
「私の髪の毛をキングスライムの粘液で封入したアクセサリーでございます」
「あれ、髪の毛を切る方法がないって」
「異世界のハサミで切れるそうです」
これから散髪の時は、神殿の遺物であるハサミで切ってもらうと言う美容室にこだわる女子なみになったのだよ。(偏見です)
アモールが何か欲しそうにしているが、大神官の教えにより、一つしかないのだ。
君の白いもふもふを髪止めでまとめるなど、もふもふ好きの風上にも置けない愚行なのだ。
「ありがとうございますエヘヘ」
「どういたしまして」
アモールが何か言いたそうにしている。
「キュピピピ……」
「なになに、一緒に外出したい、外の様子を見たいって?」
「怖い、聞こえてるんですか、聴こえてるんですね」
猫用のお出掛けバッグなどいいかも知れない。迷子になったら大変だ。肩甲骨の辺りに小さな手羽先みたいな可愛い翼がついているから、未確認生物(UMA)としてツチノコ並みに騒ぎになるかも知れないな。
お出掛け中暑くなったら俺の冷房弾で涼しく出来るし。でも直撃したら凍るかも。
「パーティーメンバーにしたら、いいかも知れない」フレンドリーファイアを避けられる。
「鯖田さん、また常識外れなこと言ってますね」加納さん、手加減、手加減ね。
「そうですよ。モンスターをメンバーに出来るならゴブリンもメンバーに出来るっぽい」リチャードも日本語流暢になったね。
「じゃあ、ちょっとやってみる」
……。
「あれれ、出来たね」
「出来ましたね」
「鯖田さん非常識ですね」
「鯖田さんが非常識ですね」
失礼な。この事象よりもこの俺が非常識な存在と言うふうに聞こえるじゃあないか。
……。
それでは恒例のステータスチェック行ってみよう。
名前:アモール
種族:ファードラゴン
職業:もふもふ龍娘
年齢:2歳
レベル:0
HP:15000/15000
MP:15000/15000
状態:健康
筋力:300
体力:300
速さ:300
防御:300
精神:250
器用:300
知力:250
幸運:200
スキル:飛行lv1 、言語理解lv1、ブレスlv1 、限界突破lv1 、念話lv1、魅了lv1、人化lv1 、自然回復lv1
称号:いずれ最強に至るもの
経験値分与%
「なんじゃこりゃ」
「強過ぎ」
「可愛い」
「飛べるの」
もっと強くなるらしい。そして、女の子だったらしい。
男は俺だけとは、寂しい限りだ。
なんとブレスはパーティーメンバーに対してダメージを与えない。フレンドリーファイアにならないのだ。理屈がわからないが…。
しかし、これは強い。頼もしい味方になる。
経験値分与を33%にした。これは、慶子ちゃん、リチャード以外の3人(2人と1頭)で割った数字だ。
その後、加納さんは経験値分与0%でいいと言うことになり、俺とアモールで50%ずつ分けることにした。
そして、異世界のあるあると言えば、高位のドラゴンは、人の姿になれるのだ。これもあるあるだが、「人の姿になってみて」とたのんだら、全裸の美少女が現れるのだろう。
そういう俺も異世界で無双しまくった結果、かなりパラメータやスキルレベルが上がっているから、限界がどこにあるのか興味がある。しかし、限界突破とはそれさえも超えてしまうのだろう。
「アモール、人の姿になれる?なってみて」
慶子ちゃん、それは言っちゃあいけないよ。アモールの周りに古代文字の書いた光のリボンが現れ、くるくると周りを回っている。
「危ない!」俺は上着を脱いで、上から被せようとした。ラッキースケベは好まない方の主人公なのだから。
すると光のリボンは、俺までその回転の中に飲み込んだ。
「あーっ」俺は嫌な予感に支配されていた。俺の幸運の高いパラメータは何故こんなときに限って機能しないのだろう。
光のリボンが薄くなり消えた後、全裸の美少女がそこに現れていた。そして俺は、あれれ俺がいない。手を見てみたりしてみるととんでもないことがわかった。おれ自身が美少女になっていたのだ。下を見ると出るところと引っ込むところがメリハリが効いたボディでバストトップの位置が高いなぁと思った。
アモールと融合してしまったと考えられた。俺は大事なところを隠しながらこのまま元に戻らなかったらどうしようと心配で胸が、豊満な胸が締め付けられる思いだった。あ、締め付けていたのはおれ自身の華奢な腕だった。
「アモール、頼む元にもどって」
わかったとアモールが答えた。
俺とアモールは、分離した。俺は服を着たさっきの姿に戻った。変な髪の色の鯖田鯨人の姿に戻った。
よく聞いて見ると、アモールが俺を包んでいるようなイメージでいいらしい。アモール単独でも同じ姿になれるという。慣れると服をきている姿に変身できるので便利らしい。
「鯖田さん、女の子になってましたよ」
「そだね」
「裸でしたよ」
「そだね」
「スッポンポンでしたよ」
「そだね」
「自分の体を見回してましたね。手でおさえたりして」
「ごめんなさい、もう許して……」
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