第27話 スタンピード
俺たちは街道沿いの草原に、セーフティルームのドアを発現させ、そこからゆっくりと狩りをする事にした。
以前クルマとともに転移した場所に近いが周りをごくわずかに丘になっており見渡しやすい場所だ。灌木が丘の上に残る。温度は15℃湿度40%季節としては地球と変わらないのかも知れなかった。まあ、一年が何日かわからないので一概には言えないが。
冷静に分析してみると重力も変わらないように思える。酸素濃度など地球と同じくらいなのだろう。耳も痛くないし、気圧も同じだろう。
精神耐性がいい仕事をしている。
1日がほぼ同じ時間で太陽の高さからみて、朝の早い時間であろう。
そんなことを、加納さんとリチャードに小声で話している。パーティーメンバーになったため、コミニュケーションがやたらとりやすい。
太陽側500メートル位の所に、林的なものが見え、気配察知が、その方向に魔物の密度が高いことを教えてくれる。
「トラウマは今のところ大丈夫そうです。付かず離れずと言うくらいでターゲットの位置を教えながら行きます」
「助かる。もし苦しくなったら言ってくれ。一緒に離脱しよう」加納さんは、男みたいなかっこいい口調になっている。頼もしい。
何かあったら丘に集まることに決めた。けして無理をしないことを再確認した。
丘の周りをクリアにしていく。
距離300、3時の方向にゴブリン10、やや多いです。
加納さんとリチャードは、俺をまもるような陣形で、ゴブリンに近づいていく。
気配を消して、五感を研ぎ澄ましている。まもなく接敵し、乾いた音を響かせた。単発で、速度、貫通、小爆発を付与した弾を使っている。落としたりした時のことを考えて、生分解性BB弾を使用している。
あっという間に敵の気配が消失し、経験値が3人に流れ込んでくる。レベルアップした。
「クリア」
「次、3時方向300メートルです。ゴブリン8」
「了解」
丘を時計回りに回り込むようにクリアにしていく。
次も、問題なく倒し、三人ともレベルアップした。
俺は気配察知をlv8にマッピングをlv5にした。レベルは22である。その瞬間マップの範囲が10キロに広がり、気配察知との連動で、敵と非敵性対象、その動き、味方との区別まで、映像で出せるようになった。
「加納さん、リチャード、敵多数2000林の方向1000このままなら接敵しませんが街道を丘から9時の方向8キロに街があります。そこに直撃するかと」
以前から思っていたがハンターにあったことがないので、狩りをあまりしていない土地なのかもしれない。
しかし、非敵性対象が街の周囲に展開していること。斥候が行き来しているようすをみて、準備をしていることがわかった。
「どうする。鯖田さんの決定に従うよ、危険のないように注意しよう」リチャードがキリッとした顔で反応している。
「高い場所なら1000メートル射程があるのだろう。城壁に登れれば、助勢にはなるだろう」
加納さんは冷静な顔だ。
「俺は、助勢したい。パーティーメンバーが危なければ転移か、セーフティルームで逃げよう」
恩恵を得ているばかりでは、さすがに良くない。
「セーフティルームで移動しようか」
「そうしましょう、弾を慶子ちゃんが大量に持っているはずです。予備の電動ガンとバッテリーもあります」
なにげに、異世界をそのまま移動が出来ないのは面倒だが、スキルのレベルが上がれば出来るようになるかもしれない。
「あれ、帰りが早いですね」
俺は慶子ちゃんにこれまでの経緯を説明した。
「ぜひ、助勢してあげて下さい。でも無理せずに帰って来てください。でもトラウマが出なくて良かったです」
「それどころじゃなかった。あとで精神耐性をあげておく」
バッテリー5個、予備の電動ガンを5台空間収納に入れた。
満充電のバッテリーで2000発くらいは撃てると言う。セーフティルームで充電しておく。
弾は800×30袋くらいで、一応、速度、貫通、小爆発、電気の4つを付与しておく。敵によっては、他の付与をかけ直す。
射撃lv10にならないと、スタンが出ないため、早めに射撃を上げることを薦めておいた。
スタンピードだけにスタンってか、変なことを考えるなんて俺も緊張しているのだろうか。
慶子ちゃんは最後に回復魔法をかけてくれた。かすかに青い光が出撃する俺たちを包み、気持ちと身体を癒していった。
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