第26話 再び異世界へその2
朝起きると、何か柔らかいものに触れた。上の方をさわさわすると、さらさらヘアーだ。
目を開けると、横で慶子ちゃんがクークーと寝息を立てている。時計を見るとまだ5時だった。良かった、まだ寝れる。って良くないわー!
俺はゆっくりと布団から出るとベッドを揺らさないように起き出した。
おもむろに身体を伸ばすと、リビングにでも行くかとドアに手を伸ばした。するとドアの鍵が壊されていた。怖っ。
色々と諦めながら、リビングに行くと、加納さんが、ソファーに座っていた。
「慶子ちゃんがいたんでしょう」
「はあ」
「コーヒーでも飲みます?」
「あ、俺が淹れますね」
「色々おいてある場所を確認したので私が出来ますよ座っておいてください」
カチャカチャ音がキッチンからしている。
「おー、コーヒー私にも貰えますか」
リチャードが二階から降りてきた。
「ミルクは、豆乳を使ってるんですか、いれましょうか」
「じゃあお願いします」
「私はブラックで」
ゆっくりとソファーに深く座ると、今日の仕事の段取りについてなど、考えるともなくぼんやりとしていた。精神耐性が仕事して、オンオフがはっきりするようになっている。
仕事の調子もまあまあだし、上司や同僚との関係もいい。
あられもない慶子ちゃんの胸の膨らみや、胸の谷間も、少しビックリしたが今は冷静だ。
コーヒーを貰って、口に含み、息をはく。
「鯖田さん、今夜は狩りに行けそうですか」
「はい、自分では、撃てないかもですが、経験値の入り具合等は確認できそうです」
「言うの忘れてましたが、この家には盗聴器の類いは仕掛けられていませんでしたし、私たちも仕掛けていません」
「まあ、そうだろうとは思っていましたが、確認できて良かったです」
「今日のお仕事頑張って下さいね」
「と言うか慶子ちゃんも一緒に出社するんですよね」
俺と加納さんとリチャードは、6時頃までゆっくりとしていた。
「みんな、起きてたんですか」
慶子ちゃんが、一階の両親の寝室つまり今は俺の寝室から出てくる。良かった、今朝は透けていない。
「今からご飯作りますね」
「炊飯器に炊いてあるよ」
「夕べ仕掛けておいたんです、出来るお嫁さんですねエヘヘ」
「出来るお嫁さんは、寝室のドアを壊さないと思うぞ」
「仕方ないじゃないですか、ガチャガチャしてたら壊れたんですよ」
「筋力がすごいことになっているから気を付けよう」
この頃俺は筋力がありすぎて、ベンチプレスは300上げるし、後方にジャンプすれば会社の天井の隅にに張り付くような挙動が出来る。まるで忍者だな。走れば、100メートル9秒切るだろう。
……。
「シャバダくーん、この書類はどうするんだったか」
また部長が聞いてくる。
「ここの共有ホルダーから入って、ここですね」そろそろ覚えましょうね。
……。
「むうー、今夜は美女二人といいことするんですね」
帰りの車の中で慶子ちゃんがむくれている。
「言い方……、狩りに行くんだろう、危険もあるんだからいいことばかりじゃない」
「こっちにいれば経験値が入らないってわかれば、またパーティーに入れてくれるんですよね」
「それは追い追い調べるけど」
「あっ、今日はスーパーによってください。夕食のお料理作りますね」
……。
もう車で転移することもないだろう。セーフティルームの使い勝手が良すぎる。入り口をイメージして、MP10を込めると、そこにドアが出現するのだ。パーティーメンバー以外は入れないし、安全だ。今までありがとうと俺はハンドルを撫でてから、車を降りた。
買い物でカードを出して支払いする時、思い出したことがあった。そう言えば、宝くじに当たったんだった。換金にいったのだが、カードが使える口座に移しておいたんだった。
ちなみに高額当選で、金額は前と同じ10億円だった。もう、フェアトレードに4~5億円支援したのもどうでも良くなって来たぞ。
帰宅すると慶子ちゃんが料理をするといって、後の三人はリビングでミーティングである。セーフティルームの使い方などを伝えておく。
「鯖田さんが開ける必要があるんですね。やっぱり一番守るべきは鯖田さんですね」
「すみません。帰れなくなったら大変なので」
「私とリチャードが狩りをしますから、安全なところでメンバーのステータス確認やリスクの管理などお願いします」
「すみません」
慶子ちゃんの料理は、絶品だった。味、盛り付け、取り合わせ、高級料理店で出るレベルで、俺の好みを何で知ってるの。
「フフフ、鯖田さんの好みは知り尽くしてますから」
怖い、心の中を読まれた。
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