第23話 プロゴルファーへの道
結局、慶子ちゃんはゴルフ場のオフィシャルハンディキャップをつけて、毎月報告することになった。
報告先はJGA だったか、その辺りはよくわからない。興味もない。
理不尽なのは、俺もハンディキャップをつけるように、社長に言われたことだ。
「ツアープロ二人と接待ゴルフがしたい。プロゴルファー夫婦でも良いな」と思ったそうだ。自慢したいんだろうな。きっと。
「慶子ちゃん凄いね、ハンデ片手以下が続いてるね」ゴルフ場のティーチングプロが、ちょっと狙っている風な視線を向ける。
「鯖田さんも、ハンデ4.?でしたよね」
「慶子ちゃんは2~3だろ」
「でもどういう意味があるか良く分かんないんですよね」
「大体ハンデ5.0以下のプレーヤーがプロテストを受けるために推奨されています」
「げ、このままだと受験できちゃうじゃん」
「まあそうですね」
オフィシャルハンディキャップ5.0以下は絶対条件ではないらしいが、あくまでも推奨されるらしい。
妖怪ベムさんだと指三本だからハンデ3になるんだろうか、そんなことを考えている時がありました。
土日は、ラウンドだったり、練習だったりで潰れ、来年はプロテストを受けるように言われる。
今は、レベルアップなんか出来る時間はなかった。
そんな時、加納飛鳥からメールが入った。
『私も時間ができたのでゴルフご一緒したいです。練習のスケジュール教えてください❤️』
慶子ちゃんがスマホを覗いてくる。
「却下です。加納さんは一人で寂しく練習すれば良いんです、なに勝手に❤️つけてるんですか」怒っているようだ
「そうか?しばらく接触して来なかったのは、高評価がつけられると思うぞ。リチャードと友人ってのも本当らしいし」
「もう、鯖田さんはすぐ騙されるんだから、私が一生面倒見てあげないとダメですね、えへへ」
「まあ、来週辺りから合同練習だな」
「むうー、私の鯖田さんは渡しませんよ」
「……」
次の土曜日に俺たちは、加納さんと某ゴルフ場で会うことになった。前日から俺の家で集まろうと加納さんは言っていたが、慶子ちゃんがプンプンになり、お断りしたのだ。しかし慶子ちゃんよ、なぜ君は金曜日俺の家に泊まる必要があったのか?
……。
早めについた俺たちはゴルフ場のフロントの前で、加納さんを待っていた。
そこにご存知の加納さんがピンクのゴルフバッグを持ってやってきた。駐車場のクルマを見るとリムジンであり、坂崎さんが降りてこようとしていた。坂崎さんはエスコートしたかったんじゃないのか。先に出てきて良かったのかい。
「お久しぶりでーす。寒くなりましたね」
「その節はありがとうございました」
「助けてもらったのはこちらのほうです。今夜でもお礼をさせてください」
「むー、鯖田さんは今夜私と先約があるんです。残念でした」
「何か用事があったかな?」
「ありました。鯖田さんが私と一緒にいたいと言いました」
……。
「やあ、お久しぶり、練習頑張ってるそうじゃないですか」
「プロテストなんて受けたくないんですが」
「その才能を埋もれさせとくのは罪ですな、知り合いからツアープロが生まれたとなったら私も鼻が高い」
「ところでそちらの女性はどなたですか」
坂崎さんのとなりには、金髪美少女がそそとして立っていた。
「こちらはリッチェルさんだ。加納さんの友人のアメリカの美人さんだ」
「こんにちは、リチャードです」
「?何ですと」
「リチャード・ゲイトです」
何と、金髪アメリカ美少女は俺のメール友達のリチャード・ゲイトだった。そんなわけあるかー。
「こ、声が違うし」
「あれはボイスチェンジャーでかえてるの、前の声に慣れてる人もいるし」
「でもリチャードは毛むくじゃらのゴツいやつだろ。写真をアップしてもらったはず」
「あ、これでしょう」
「そうこれ、この毛むくじゃらの」
「それはエンジェルと言ってスタッフよ、私はこれ」
写真には子供たちと笑顔でこちらを向いてある美しい女性が写っている。
俺は目の前の美人と見比べながら、
「こっちがエンジェルと言う女性スタッフとばかり思っていた」とわなわなと口を震わせながら言った。
「リッチェルはリチャードよ、いわゆるM to Fね」と加納さんがニコニコしながら教えてくれた。
えええーッ。そんなバカな。ラノベにはそう言うLGBT 的なことを書いちゃいけないのでは?時代が進んでラノベを追い越したのか。くそー、それは発想になかった。
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