第17話 土曜日二人の買い物
未明に帰ってきたため、土曜日は10時過ぎに慶子ちゃんはリビングに出てきた。
「ふぁー、よく寝れました」
俺は、ソファーに座って、豆乳オレを作って飲んでいた。俺は某コンビニのエイトイレブンの豆乳が好きだ。ほのかに甘くて糖類60%オフなのだ。
「豆乳オレ飲む?」
「はーい、本当は私がお味噌汁を作ってあげるはずだったのにヨヨヨ」
「そういうのは彼氏に作ってやれ」
「むうー、鯖田さんに作ってあげたいんです」
「そうかー」
「何か気づきませんか」
「何か?その膝上まである親父の延びきった白いTシャツのことかな」
「これお父さんのですか?匂い嗅いじゃいましたよ」
「まあ素肌にTシャツって気持ちいいよな、でもブラジャーぐらいは着けようか、生地が薄くなって色々な色がもろもろ透けてるぞ」
「エヘヘ、ガン見しても良いですよ」
「………」
………。
「昼飯にホテルのビュッフェにいこうか、準備たのむ」
「はぁーい」
……。
俺たちはクルマに乗ると、音楽をかけながら近くの某航空会社の名前を冠したホテルに向かった。買い物は郊外のスポーツ用品店なので逆方向にはなるが、ドライブと思えば楽しいもんだ。助手席にはスタイルのよい美人が乗っているし、たまには対向車のドライバーが二度見してくるくらいだ。
ホテルに着くと正午前だったが、30分くらいは待った。俺たちは買い物したら打ちっぱなしにいこうかとかそういう他愛もない話しをしていた。
ビュッフェは、目の前で焼いてくれるハーフステーキや、目の前で寿司職人が握る寿司など種類が豊富だった。
二人ともいつも食べる量の1.5倍位は食べていた。レベルアップの影響があるのかも知れなかった。
慶子ちゃんは、デザートを全種類とり、最後にコーヒーを淹れて、少し苦しそうにしている。そういえばこの子の姿勢はかなり良くなって腕の筋肉も細いなりについている。レベルアップにより身体が強くなったのだろう。
そういえば、あの時助けた女性は、かなり鍛えられた筋肉がついていたようだった。逃げきれただろうか?
「ご馳走さま、美味しかったです。少しお腹苦しいです」
「まあ、あれだけ食えばな」
「運動した後に食欲が出るみたいです。腕にも筋肉がほら」
二の腕に力こぶを作っている。
駐車券に無料のはんこを貰って、郊外のショッピングモールの中にあるスポーツ用品店に向かった。
「少し賢くなったような気がするんです。忘れたりする事がなくなったし」
「俺も英語が聞き取りやすくなった」
……。
ショッピングモールに着いて駐車場にクルマを止めると、スポーツ用品店に行こうとしてふと宝くじ売場を見るとハロウィンジャンボ宝くじがやっていたので、慶子ちゃんに断ってからいつも通りバラ10枚連番10枚購入した。
その後スポーツ用品店でウェアや靴、帽子、レイン用品などを揃えた。慶子ちゃんは俺とお揃いにしたがったので、ちょっと仲の良すぎる年の離れた兄妹のように見られたんじゃないだろうか。
クラブは面倒なのでセット買いにした。店員さんに聞いて、体格などに合うものを選んだ、まずは振ってみようと言うことになり、慶子ちゃんから試し振りをした。店員さんはその振りの鋭さ、柔らかさを絶賛していた。こんなに振れているのは、女子プロの振りを見て以来だと驚いていた。
その後、俺も試してみたが、あまりうまくはなかったようだ。あまりの下手さに店員さんは目を丸くして言葉を失っていた。普通に中心線を意識して身体を回転させただけなのだが。
とにかく一番筋力のある人用のを薦められるままに買った。
その後、打ちっぱなしにいき、200球ずつ打った。慶子ちゃんの球はまっすぐに飛び、周りの人たちが集まってきていた。スカートの下には見えても良い何かはいているが見ていてはらはらする。プロのコーチのかたもいらっしゃったのだが、プロテストを薦められていた。まあ美人だし教えたいよな。
俺が打ち出すと、シーンとなり何も言ってくれなくなった。最初身体の軸の回転だけで振っていたが、ヘッドが少しネジれるように見えたので、少し計算して身体の中心から左右数ミリでずらして体重移動も加えて打ってみるとやっとまっすぐ飛ぶようになった。
慶子ちゃんもあんなに口を開けて呆れなくて良いのにな。おじさん少しきずついちゃうよ。後ろのほうでほぉ300オーバーなどと聞こえたが、ラウンドに出たら300以上叩いちゃうってことだろう。球が劣化していたのだろうが3球は、打った瞬間空中で分解して破片が散弾のように飛んでいった。弁償しなくて良いよね。
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