第12話 その女加納飛鳥(かのうあすか)
この男が鯖田鯨人か、仲間うちでは、サバゲーと呼ばれている。ふざけた名前だな。
私も昔は、加納も飛鳥も名字に聞こえると弄られたことはあるが、こいつのは別格だな。
近頃は芸能人に○○飛鳥というアイドルがいるらしいが、周りの人間は弄ってこないから関係ないが。
中堅商社の冴えない中間管理職、35歳か、何?35歳には見えなかったぞ、どう見ても20代それも前半だろう。
こいつには興味が湧いた。助けてくれたこともあるし、それなりに探って見よう。
彼女は表向きは、大企業のOLだったが、実は、おっとこれ以上はゲフンゲフン、フニャさんも危なくなるのでやめておこう。
加納飛鳥は、高度に暗号化されたファイルを頭に記憶した解除シークエンスだけで解凍し、一回だけ見ると完全に記憶し、パソコンのデータとミニSDを完全に破壊した。
しかしあの時頭の中に映し出されたものは一体なんだったのか?鯖田鯨人と関係あることは間違いない。
まるでゲームのステータス画面のようなそれは、今も記憶の中からはっきりと蘇ってくる。
名前:カノウ アスカ
種族:ヒューマン
職業:非政府情報部員
年齢:26歳
レベル:0
HP:150/150
MP:140/140
状態:健康、軽度困惑、拉致被害中
筋力:150
体力:150
速さ:200
防御:150
精神:250
器用:200
知力:250
幸運:110
スキル:射撃lv3、言語理解lv2、体術lv3、ハッカーlv5
称号:異世界パッセンジャー
おそらくパーティーメンバーになってすぐのため、システムが他のメンバーのデータを見せなかったと思われる。
今はメンバーではないため、表示されないが(実際は異世界でレベルアップしたものだけが定着すると考えられる)この情報だけで、加納飛鳥の優れた能力をもってすれば、推測は容易である。
(おそらく、鯖田鯨人は異世界転移能力を持っている、そしてあの時だけだが私の能力がスキル化されることによって以前よりスムーズに発揮できるようになった気がする。注意しなければ分からないくらいの違いでしかないが)
スキルというものは、環境から取り入れられる入力を適正に処理し、今の能力でできる最高のパフォーマンスを確実に発揮させる。もちろんスキルがあってもなくてもバフや、デバフなどの状態変化の影響は受けるが。
(あの力をいつも使えたら、そしてレベルアップできるなら、とんでもないことになる。悪用する人間が出てきたら、この日本に、世界にとって悪夢でしかない。適切に監視するように組織的に動く必要がある)
鯖田鯨人は厄介な人物そして組織に目を付けられたのかもしれない。
そして秋田慶子は…。
二人は一体どうなってしまうのか。
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