第7話 BB弾無双

 俺たちは実家の駐車場に車を止めて、ひそひそ小声で話し合っていた。敷地の周囲の庭木は2.5メートルはあり密集していて外からはまず見えない。

「まず時間経過はずれていないと思う。俺の安物のカ○オデジタルウォッチでも狂いはなかったし、体感的にも同じと思った」

「私のは、ちょっとお高いパーペチュアルですが狂ってませんでした」

「……サバゲーに高い時計をしてくるなって言ったよな。壊れても知らんぞ」

「BB弾はパーティーメンバー以外が撃っても機能せず、いっぺん機能すれば消えてしまう、さらに、機能は俺たちや装備を壊すことはない」

「BB弾がチートだったんだ」

「それだけではない。スキルやステータスはこっちの世界でも有効で、脳や身体にいい影響があっても悪い影響は無いようだ」

「レベリングしといた方が絶対にとくですね」 

「俺のスキルの異世界転移はlv5に上げたら消費MPが60になった」

「危なかったらすぐ帰れるじゃないですか」

「連れていける生物はパーティーメンバーだけだから、他の奴に言って、パーティー加入を強要されたらこまるな」

「誰にも言いません、ところでさっき鯖田さんにお金出してもらってすみません」

「いいんだ。親父が田舎暮らしすると言って家族カードを持たせてくれたんだ、親父は小さな会社でも社長だったからな」

「じゃあいきましょう」

「お、おう」

………。

 イメージをして転移すると、夜で昨日車が停まっていた場所だった。周囲に危険がないことを確かめてからタイヤの近くを見ると、草の倒れかたから、まったく同じ場所同じ方向に転移したことがわかる。さらに上下方向にも揺れなかったので、高さも変わっていないのだろう。

 まず携帯用トイレを設定してそこに目立たない色のポップアップテントを換気出来るように据えた。風で飛ばされないように、ペグで頑丈に止めておいた。

 さらに、2-3人用のポップアップテントを立てて自分が寝るようにした。危なくないならぜひテントにおれが寝て、慶子ちゃんは車で寝かせよう。

 気候は温度22℃、湿度40%だった。季節はわからないがレベリングには、悪くないだろう。

「今日は二人で車の中で休みましょう。危険かどうか、わからないし」

「こちらが昼のときにきた方がよかったかもしれないな、街道からみられる危険はあるが」

「俺のサブウェポンのグロックにも速貫電の弾を入れておく、人に撃たなきゃならない時がこまるからな。体内で消えるから特にいいだろう」

 実はそれ以上にチートなことがある。俺は実家の庭の盛り上がった所の目立たないところにコントロール重視で速・貫・小爆のBB弾を手で軽く投げてみたんだ。すると、みた感じでは200キロぐらいでまっすぐ飛んだ弾が、まるで勢いを殺すこと無く抵抗なく吸い込まれてその部分がわずかに凹んだ。

 6ミリ位の凹んだ穴をグリグリと工具で広げて中を照らしてみると、土の中にに球状の空洞があることがわかった。

 おそらく弾は、10センチ貫通しその深さで爆縮反応を起こし半径10センチの空洞を作ったのだ。

 俺が投げても特性付与の効果がある。容器に入れるぐらいでは反応しないので当てると言う意志が必要なのか。少し地面を狙って上から落としてみたが反応しなかった。何者かあるいはAIのような判断する何かがあるのかもしれない。

 正直に言うと、俺のポケットのなかにはマッチ箱に入った速電のBB弾が入っている。暴漢に襲われた時、投げて当てる用に入れてあるのだ。感電させて弾は消えるから証拠も残らない。速、貫、小爆だと暗殺者になれるのではないか、もちろんならないが。

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