第106話 辺境伯の街の出来事
said 主人公
子供たちに渡したお菓子をどうやら皆ちゃんと食べてくれたみたい。そして子供たちは頑張ってかなりたくさんの人に配ったんだね。
わたしは光点と地図の情報を組み合わせて考える。子供たちはダンジョンからの帰り道でも頑張ってくれたようで、わたしが頼んだ以上の人数の光点が地図には現れている。
まさかずっと地図を睨んでいるわけにもいかず、どうにかしようと思いついたのが転写の発想からたぶん出来そうだと思って録画機能を試してみた。
光点の現れる地図を大画面をイメージした白い布に映し出し、変化を記録していく。前世の記憶のおかげで巻き戻しや早送りのボタンをつけることもスムーズに出来た。
わたしはノートに思いついた魔法を書き留めて、結構使える魔法が増えたことにニマニマする。まぁそのうち、ちゃんとどれが既存の魔法でどれがオリジナルの魔法なのか仕分けしないといけないと思う。
じつはこの後、便利なことを思いつくのだがきっとこんなことを考えていたからだろうと思う。その便利なこととは、魔法の使用履歴と、使用可能魔法一覧というものだ。
使用履歴はこちらに転生してから使用した魔法が時系列で表示される機能で、使用可能魔法一覧は使える魔法が属性や分野別に一覧になっている。
その上オリジナルと既存の魔法の見分けもできる。まぁ、こんな機能があったとしても需要がどの程度あるのか不明だが。
でもこの時気がついた。べつに誰かのためでなくてもいいじゃないと。そうだよ、そうだ。わたしが便利ならいいのだ。わたしが必要としているのだから。
どうも無意識にへんな魔法を勝手に作ってはいけないんじゃないかと思っていたようだ。誰かに迷惑をかけないなら大丈夫だろう。
というわけで、光点の変化は記録しているからその間に食事などをすませる。森の洞穴は毎朝クリーンをかけているので綺麗に保たれている。外から帰ると自分にもクリーンをかけてさっぱりするのがすっかり習慣になった。
魔法のおかげでいつでもお風呂に入れるのだが、呼び出しのコール(警報)がいつ鳴るか分からないのもあって簡単にクリーンですませることも多い。
コールといっても、自分で設置してまわった物なので完全に自己責任である。なんとなく勝手に自警団しているだけなので、誰もこのことは知らない。
だからたとえ魔獣がでたり、盗賊が出たりしてもわたしが急いで駆けつける義務がある訳ではない。ただ始めちゃったので続けている感じ。更に言うなら1度気になると歯に挟まった小骨のように気にし続けてしまうのだ。まあいずれ落ち着くだろう。
ついでに盗賊の討伐は臨時収入になるので頑張っている。魔獣の方も食糧や素材にはなるので続ける予定だ。でもゆっくりお風呂に入るためにも、そのうち何か考えよう。
料理がてら食糧などの備蓄をチェックし、1日の収支も合わせておく。ためると面倒になってしまうから、すぐ出来るものはどんどん終わらせる。
ひと段落ついたので地図を確認すると、不穏な動きを見つけた。
時間をチェックすると、今から少し前ちょうど夕方の買い物のため賑わう時間帯だ。子供が出歩いてもおかしくない時間、皆急いで用事をすませて帰宅しようとバタバタする時間でもある。
商店などもなるべく売りきろうと、掛け声が賑やかになりそれでいて夕闇が迫って辺りはどんどん暗くなる。
子供たちの家路へ急いでいる様子が地図からは見て取れる。そんな中不自然に人気のない区画へ移動する光点。これは気になる。ダンジョンで知り合った子供たちは皆だいたい同じ区画に固まって住んでいるのでこれは不自然だ。
並べているほかの地図で場所を確認する。怪しいのは、子供を示す光点はその区画に取り残されて、後から増えた光点だけがそこから繁華街に向かったこと。
わたしは少しばかりの金銭を持って、怪しげな光点の向かった場所に行くことにした。
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