第14話 神の落とし子
side 主人公
わたしは、どうして不安定な気分なのだろう?とりあえず稼げていて、慎ましく生きれば暮らしには困らない。それなのになんとも落ち着かない。辺境伯やギルドマスターの認識とわたしの認識のズレが気になるのだろうか?
わたしの認識では女神さまにとって、たまたまちょうど良かったから程度の扱い。それにちょっとした楽しみくらいのスタンスに感じた。だからわたしも気が楽だった。
それにここは、弱肉強食のこわい世界だと思っていた。だから必死で練習して、レベルを上げて近頃ではたいていの脅威に対抗できるとは思っている。まぁ油断して即悲惨な未来へ移行したら困るから、もっともっと安心安全に暮らせるように頑張るよ。
そうか!わたしが掃除に拘るのはわたしが生きやすくするため!いや、まて!むしろはじめからなにも変わっていないのでは?だって生き残るために闘うし、食べるために狩るし、守るために鍛えるし、より良い暮らしのために環境を整えるし。
わたしは、この世界で生きるためにより生きやすくしているだけだ。べつに有り難がられる存在じゃない。むしろ現在進行形で、生命を刈りまくっている。まぁ、討伐というお題目が一応あるが、子供で、力のない女性であり、外見もかわいい(自分でいうな?)わたしが、不測の事態に陥らないため悪の組織はできるときに潰しておく。
そう、わたしはもうこの世界を構成するひとつで、わたしは特別な存在なんかじゃない!だから温度差を感じたのか!
「神の落とし子」を特別視するのは理解できるが、わたしは自分を落とし子だと感じていないから?
辺境伯やギルドマスターは、「神の落とし子」に対して今後どう考えているのだろう。もしなにか考えがあったとしても、わたしの今後の行動に差し障るなら困るなぁと思う。
「辺境伯、そしてギルドマスター。お二人は何かお考えですか?」
「まず勘違いしているとまずいからあえて言うが、おまえが落とし子でもなんでも俺は構わない。そして落とし子かどうかに関係なく、おまえはおまえの好きにすればいい。だがおまえはおまえの及ぼす影響をきちんと把握はするべきだ。突拍子もない魔法を作ったり、この世に存在するとは思われていなかった、ほぼ無限の容量を誇るアイテムボックスのことも、決して普通じゃない。おまえがいくら静かに行動する気でも、必ず遠からず注目されてしまう。冒険者ギルドでは、おまえの隠れ蓑には小さ過ぎる。」
「わたしの養女になるか?貴族の身分は役に立つと思うぞ。」
「えっ!イヤです。」
「ッ、なぜだ!」
たぶん、わたしがやることの影響は大きくなる。辺境伯家に迷惑はかけられない。この街も辺境も、今では大切に感じている。
「おまえ、これからなにするつもりだ。」
「いくつかやることがありますから、それから?ですかね。」
side あるギルドマスター???
それじゃぁ答えになってねぇ!俺も辺境伯も腹をおさえた。胃が痛い!戦争になるのか?内乱になるのか?はたまた災害に見舞われるのか?いったいどれだけ死ぬ?
魔法の肥料なんかを作ろうとする奴が、なぜ闘わなければならないんだ。それは闇が深くて広いから?穏やかに変わることを願うのが遅すぎたのか?世界には救いが必要で、世界にはおまえが必要なのか?
said ある辺境伯???
わたしは何に備えればいいか思わず聞いてしまった。冬支度?イヤイヤ、魔物?人?それとも国?どうすれば祖国と領地を護れるだろう?もういっそどこかに逃げた方がいいのか?逃げる必要はない?そうか。しかし、なにが起こるんだ。
助力は必要ないのか?なんとカナシイ。去年より魔物も盗賊の被害も少なくて、いい年だと喜んでいた。来年もきっとよい年になるとそう思っていた。
皆変わりなく、家に住み、田畑を耕し、冒険者たちは素材を持ち込む。そんな変わらない日々を来年も送れているだろうか?送れるといいな?送りたいな!
どうか、神よ、われわれをお守りください!
side 主人公
わたしは、ギルドマスターにお願いしてある人に紹介してもらうことにした。1人で会いに行くには難しい相手だったから。
そしてなんとしても、話を聞いて力を借りたい相手でもある。でも今までで一番難しい相手だと思う。なぜならまだ信用と呼べるものがないから。説得する機会はギルドマスターから貰った。あとはわたし次第。
この相手を攻略できてからが本当の活動だ。思いきりやる。手加減なしだ。
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