悪くするのも自分、良くするのも自分

 改札口を見ながら、ほくほくもらいたての敬老パスを出そうとした瞬間!階段を一気に踏み外し、目から☆、しこたま尻もち打った。「だいじょうぶですか?」あわててかけ寄ろうとする駅員を手で制し、「大丈夫です」とうなりつつ、ちっとも大丈夫なんかじゃない!発病一年前のこの一件が、狭窄とヘルニアの誘因とひそかに私は信じている。

 高齢者景気で賑わう整形外科を傍目に、私は、体軸トレーニングと鍼灸に通う。整形に通う同世代は、「ちっとも良くならないけど・・」「気休めに・・」と嘆くが、年寄りによる保険料の食い潰しには加担したくないと、保険外を志す。

 自慢じゃないが、65年間スポーツとは縁ない人生を歩んできたが、ここへ来て人体の筋肉図鑑なるものを買い、1日3回の自己トレーニングでしなやかな筋肉作りをめざす。が、老人街道まっしぐらに逆らうには、並大抵のトレーニングでは追っつかない。「悪くするのも自分、良くするのも自分、私はそのお手伝いをするだけです」と鍼灸医が言い切るように、年寄りは、ひたすら自助努力して、老いに伴う己の身体の不具合と、何とか折り合いをつけながら暮らしてゆくものと心得る。

と、エラそうに言ってはみたもの、高血圧+高コレステロール、白内障、歯科点検にマウスピースと、ばっちし保険のお世話になっている。

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