ケトル人の影

第20話 迫る影、失われた真実

隠れ家の調査を終えたシホとケトル人対策課の刑事たちは、一時的に退避した安全な場所で、これまでの状況を整理するために集まった。冷たい夜風が彼らの周りを包み込む中、シホは深刻な面持ちで話し始めた。

「これまでに発見された首…そして胴体が一向に見つからないこの状況。ケトル人の意図するところが、いまだに掴めない。」彼女の声には、不安と疑問が込められていた。

刑事たちも、それぞれが持つ情報を共有し、何か見落としている手がかりはないか、熱心に話し合った。しかし、彼らの間に漂うのは、真相に辿りつけないもどかしさと、増すばかりの恐怖だった。

「首だけが残され、胴体がどこにもない…これは、何か特別な意味を持つのか、それとも…」ある刑事が言葉を濁しながらも、深い懸念を表した。

話し合いが続く中、突如として周囲の空気が一変した。不気味な静けさが一行を包み込み、それと同時に複数の足音と鈴の音が、闇から彼らに忍び寄ってくるのが聞こえた。

シホと刑事たちは反射的に立ち上がり、周囲を警戒した。そして、暗闇から現れたのは、人間とは思えない奇怪な姿をしたケトル人たちだった。異形のケトル人たちは、まるで何かを伝えようとするかのように、シホたちを取り囲んで静かに立っていた。

一行は息をのみ、この予期せぬ襲撃者たちの意図が読めずにいた。異形のケトル人たちの間からは、人間の感情とは異なる、不可解な雰囲気が放たれていた。彼らは何を求め、何故、首だけを残し、胴体を持ち去るのか。その答えは闇の中に隠されたままだった。

緊張した静寂の後、異形のケトル人たちは、何もすることなく、またしても闇へと消えていった。シホたちはその場に立ち尽くし、何が起きたのか、そしてこれからどうすべきか、深く考え込むのだった。