第16話 忘れられた銭湯の秘密
街の片隅にひっそりと佇む、廃業したはずの小さな銭湯から、不穏な噂が立ち始めていた。一度は閉鎖された扉が再び開かれ、そこを訪れた人々が次々と姿を消しているという。この怪しい情報はすぐにケトル人対策課の耳に入り、シホもその調査に乗り出した。
夜の帳が街を覆う中、シホはその銭湯の前に立っていた。外から見れば、普通の銭湯に見えたが、何かがおかしい。灯りがついているにも関わらず、中からは人の気配が一切感じられなかった。
慎重に中へと足を踏み入れると、受付には誰もおらず、異様な静けさが支配していた。シホはさらに奥へ進み、浴室に入った。そこには湯気が立ち上り、一見すると何の変哲もない光景が広がっていた。
しかし、シホの目はすぐにそれを見抜いた。浴槽の一角に、ケトル人の使用すると思われる奇妙な装置が隠されていた。それは、水を何らかの物質に変換し、浴槽に流し込むためのもののようだった。
シホはその装置を詳しく調べ、その機能を解析しようと試みた。すると、装置は突然活動を始め、浴槽の水が急速に異変を起こし始めた。水は不気味な色に変わり、まるで何かが生まれようとするかのような気配を放っていた。
その瞬間、シホは装置が人々を別の存在に変えるためのものだと理解した。訪れた客たちは、この装置によってケトル人に利用される何かに変えられてしまったのだ。
シホはすぐに装置を停止させ、その場から撤退した。彼女はこの情報をケトル人対策課に報告し、さらなる調査と対策を進めることを決意した。
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