第8話 迷宮の糸

夜が更ける中、シホはケトル人対策課のオフィスで目撃情報と証拠を分析していた。観覧車での遭遇以来、彼女の心には疑問が渦巻いていた。なぜケトル人は遊園地に現れ、そしてなぜあんなにも簡単に逃げ去ることができたのか?


シホはビークル「ナビ」からのデータと、現場で集めた証拠を比較していた。観覧車の周りで見つかった奇妙な足跡、不自然に動いた観覧車、そして目撃されたケトル人の行動パターン。これらの情報から、何か手がかりを見つけ出す必要があった。


「ナビ、観覧車周辺で検出された異常な電磁波のデータをもう一度分析してくれ。」シホはAIに指示を出した。ナビは迅速にデータを処理し、結果を表示した。


画面には、観覧車の動きと電磁波の変動が示されていた。シホは画面をじっくりと眺めながら、頭の中で情報を組み合わせていった。そして、ある可能性に気づいた。


「もしかして、この電磁波の変動、ケトル人が何らかの装置を使って引き起こしたものかもしれない。観覧車の動きをコントロールして、何かを隠そうとしたのかも…」


刑事の一人が言った。「それなら、彼らが何を隠そうとしたのかを突き止めることが重要だな。」


シホはうなずき、新たな調査計画を立て始めた。ケトル人が遊園地に残した謎の糸を手がかりに、彼女は彼らの真の目的を解明するために動き出した。


次の日、シホは再び遊園地に向かい、観覧車周辺で詳細な調査を行った。探索の結果、彼女は観覧車の基礎部分に隠された小さな装置を発見した。それは明らかに異質で、ケトル人によって設置されたものだった。


この装置の解析が、ケトル人の計画と目的を明らかにする鍵となるだろう。シホは装置を慎重に回収し、ナビに持ち帰った。これで、ケトル人の謎に一歩近づいたはずだ。

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