第7話 静止する観覧車

遊園地の入り口で、シホはケトル人対策課の刑事たちと合流した。夜の帳が降りた遊園地は、閉園後の静寂に包まれていた。刑事たちは緊張した面持ちで、シホに情報を伝えた。「目撃情報によると、ケトル人が観覧車の近くで目撃されたんだ。」


一行は遊園地の奥へと進んだ。夜の闇に浮かぶ遊園地のアトラクションは幻想的でありながら、どこか不気味だった。特に、動かない観覧車は異様な雰囲気を放っていた。


「観覧車が止まっている…」シホがつぶやくと、刑事たちもその異変に気づいた。通常、夜間は動作を停止する観覧車だが、その止まり方が不自然だった。一番高い位置にあるゴンドラの中には、何かが見え隠れしているようだった。


刑事たちとシホは慎重に観覧車に近づいた。突然、観覧車の照明がぱっと点灯し、一瞬の静けさの後、観覧車がゆっくりと動き出した。ゴンドラが下降してくるにつれ、中に人影が見え始めた。


「気をつけろ!」一人の刑事が叫んだ。ゴンドラが地面に近づくと、その中からケトル人が姿を現した。その目は冷たく光り、人間とは異なる恐ろしさを秘めていた。


シホは迅速に行動し、脇差を抜いてケトル人に向かった。刑事たちも後に続いた。ケトル人は嘲笑するように、シホと刑事たちを見つめながら、ゴンドラから飛び降りた。


一触即発の状況の中、シホはケトル人に挑んだ。しかし、ケトル人は予想外の速さで動き、シホの攻撃をかわした。刑事たちも銃を構えて応戦したが、ケトル人はあざ笑いながら、闇の中に消えていった。


「逃げられた…」刑事の一人が呟いた。シホは深く息をつきながら、観覧車を見上げた。何かが始まろうとしている予感が彼女を包んだ。

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