第27.5話


「お疲れ様でした〜!」


「悠乃、次は目白のスタジオだから」


「はーい」


 はぁ〜〜。何やってるんだろう私。



***



 私は人生二週目だ。名前は南北悠乃、前世では服部ほむらという名前で生きていた。確か。

 そりゃ生まれ変わってから16年、うろ覚えになるのはしょうがないだろう。


 死んだ理由は自殺だ。幼馴染の死を目の前で見て鬱にならない人は恐らく居ないだろう。自殺した後に会えると思っていたが、まぁそんなことはありえず。しかも女が多い世界だし。男が少ないってことはまた会える確率も少ない。


 だが、会える確率も無きにしも非ず。私が有名になればあっちから連絡が来るかなと思ったため女優活動をはじめた。結局連絡来なかったけど。


「今日もお見合いの打診きてるけど」


 マネージャーはよくお見合いの打診をしてくる。もう27のそっちのほうが受けたいんじゃないの?と言いたくなるがぐっとこらえて見せてもらう。


「見せて」


「はい」


 こんなん絶対幸一じゃない。無理、ありえん。


「蹴っといて」


「わかったわ」


 なんやかんやもう50件くらい来てんじゃない?しらんけど。やっぱもう会えないのかなぁ。


「そういえば、界隈初の男性Vtuberが生まれたらしいわよ」


「へぇ〜」


 興味ないわぁ〜。Vtuberとか普段見ないし。


「一応メディア関連なんだから抑えといたほうがいいわよ。トップを走ってる女優なんだから」


「今は涼香さんが休んでるからでしょ。涼香さんが帰ってきたら私なんて...その妹の神奈さんも子役では膝くらいまで突き抜けてるし私が抜かれる日も近いわ」


 涼香さんも神奈さんも天野家だ。七海さんや菜音さんも同世代トップ3に入る実力があるしほんとにうかうかしてはいられない。


「そう、その天野家の第三子に当たる子なんだって。存在ひた隠しにしてたらしいけど」


「あの都市伝説に近い第三子の存在はほんとだったの?それが男なんて。陰謀論みたい」


 芸能界ではまことしやかに囁かれていた噂がホントだったなんて。世の中何があるかわからないなぁ。


「まぁ見ときなさいよ。目白のCM撮影さえおわったら珍しく今日は終わりなんだし」


「は〜〜〜い」




***




『おつかれ〜!』


 え、やばい...

 これ、幸一じゃん...


 ちょっとまって、え?天野大知が幸一?も〜やばいんだけど。

 声も似ているし、幸一が先生とかと話すときの少しうわぶった話し方も似ている。これはもう幸一なのでは?


 いや、まって、そもそも幸一ならもっと早く連絡してきているはず。

 あぁぁぁぁぁ、でも脳が幸一って反応してるしなああああぁぁ。脳がそう言ってるならそうかあああぁぁぁ。


 ちょっと身辺調査でも入れてみようかな???いやそれより天野さんに直接聞くほうが早いかな?

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る