第27話

「あとネット掲示板とかは覗かないでくださいね?」


「わかりました」


 あとで覗くか。押すな押すなは押せって言うことだしな。


「こんな感じですかね。今日から3日は各々初配信があるので次配信するなら4日後からでお願いします。コメントはご自由に。いや、やっぱ自重しながら配信一つに5個くらいまでに」


「あっはい」


 同期の初配信はやっぱり配信してはならないのか。先輩とかは同時試聴会とか配信してるけど先輩ならではなんだろうな。


「じゃあ今日はここまでで。休憩室寄っていきます?」


「今日は家でまだやることがあるので大丈夫です」


「わかりました。じゃあお疲れ様です〜」


「お疲れ様です〜」


 ふ〜、やっと終わった。なにか月見さんと話していると猛獣に狙われているかのような感覚になるんだよな、多分気のせいだけど。

 あのやさしい月見さんに至ってそんなことはありえないだろう。




***




「ただいま〜」


「おかえり〜!!!!」


 返事が帰ってくるのはいつもどおり涼香姉様のみ。逆に他の家族の声が聞こえたらびっくりする。


「はぁ〜〜〜大知の匂い気持ちい〜〜〜〜」


 いつもこんな調子だ。活動が始まるのが決まってから特に。


「もー、もうそろそろ自立しなよ〜。次期当主でしょ?」


 涼香姉様は長女であるためお母様の役割を継ぐ。七海姉様や妹二人は(本編未登場の)叔母様方のように分家として活動していく。俺は一体...どうなるんだろうか。天野家初の男の扱いはいつどうなるんだろう。


「次期当主だからこそ家族とのスキンシップが必要なの!」


「はいはい。洗濯物たたむからまた後でね」


「も〜」


 前例がない天野家の男。箱入り息子過ぎて他の男性とかとも話したことがないのは良いことなのか、悪いことなのか。この世界の常識が16年生きていてもよくわからない、というか理解するのを自分で拒絶しているのだけども。

 はぁ〜〜。そもそも俺が家事しているのが良くないんだろうな、上天家系なのに。


 いつかほかの上天系とか下天系とかに会ってみたい。確か姉さんとかは会ってるって言ってたような気がするし今度姉さんとかに会わせてもらおうかな。


 テレビ見ながらたたむか。姉様は上に行ってしまったし。


『七海さんは弟さんが居ることが発表されましたね』


 七海姉様が出ている。どうやら男にモテるには的な特集らしい。毎日どっかしらのチャンネルでやってるけど。


『えぇ。自慢の弟ですよ』


『弟さんの好みのタイプとかわかったり?』


『いえ...というか知っていても無闇にテレビで話したりはしませんよ』


 あ〜よかった。なんで好みのタイプとか全国放送で赤裸々に公開されなきゃいけんのだ。


『そうですよね笑』


『配信で言ってましたけど婚約者もいないとか?』


 うげ、ほむらじゃん。ほむらも今をときめく子役の一人だしそりゃ出るよなぁ。


『そうですね。現在はお見合いも実施しておりませんし出会いの場もほぼありませんから』


オォー


 なんで俺の恋愛事情をテレビで流されなきゃいけないのだ。しかもなんか盛り上がってるし。ほんとに恥ずかしい。

 消そ消そ。音楽でも聞きながら洗濯物畳もうそうしよう。

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