第16話

「と、いうわけで紹介します。こちらは天野さん専属マネージャーの月見今宵さん」


「よ、よよよろしくおねがいします!」


「そしてこちらがあなたのサポート先の天野大知さん」


「天野大知です。よろしくお願いします」


 あの顔合わせから数日後、また同じ会議室に通されていた。今回は他のライバーさんはおらず、俺と賀田さん、それに専属マネージャーの月見さんのみの会議だ。


「本日は専用スマホとパソコンの受け渡しとアカウントの設定などをおこなっていきます」


「え?スマホとパソコンが渡されるんですか?」


「はい。ただしゲームとかはしてもいいんですけど配信や会社連絡に関係のないことはやめていただけると」


 普通パソコンだけかと思っていたがこの会社、太っ腹すぎるだろ。放送事故を防ぐためとかなのかな?


「月見さん、第二倉庫から取ってきて」


「はいっ!」


 月見さんが出ていく。


「そういえば俺、いつも電車で来てるんですけど...」


「え?ドライバーをもっていらっしゃらない?」


「えぇ。姉様方やお母様も電車か自分で運転して仕事場へ行っているので」


「いやいや、男性は有名無名問わずドライバーを基本持ってるものですよ」


 なん...だと...?

 初めて聞いたぞ。だから昔見たなりたい職業ランキングの7位くらいにドライバーがあったのか。


「今日はタクシー呼ぶので家で考えといてください。なんなら会社でドライバー代を負担しても大丈夫ですよ」


「少し家で検討しておきます」


 これは姉様とお母様と協議だな。正直あんまりドライバーさんとか恥ずかしくて雇いたくないわ。


「というわけで、アカウントやコラボの説明をしていきます」


「はい」


「まずこのアカウントは基本的には風道プロとしての『天野大知』の活動用のアカウントです。ライバーとして動画や配信活動をしてください」


「承知いたしました」


「もしも風道プロ外としての『天野大知』の活動をしたいなら一度相談してくださいね」


「はい」


 こんな感じでどんどん説明されていく。基本的に普通なことを言われた。


「あとコラボに関してですが、3ヶ月ほど優先度をつけてコラボをしていただきます」


「前話していたことに関係ありますよね」


「そうです。チャンネル登録者が多い順からやってもらって、それも一期生から順番にやっていただきたいです」


「なるほど」


 前回話していたファンが怒らないようにするためのものだろう。これで炎上を避けれるなら安いものだろう。


「持ってきました〜!」


「ありがとう」


 ってこれって...

 超高スペックのデスクトップPCじゃないか!



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