第12話
「さすが皆さん女ですね。じゃあ風間さんからどうぞ」
「ありがとうございます。まず天野さんのビジュエロすぎませんか?それコンプライアンス違反とか公序良俗に反したりしないんですか??」
思い描いていた質問ではなかった。風間さんへの評価がすこし自分の中で落ちた。しかも、こんなんでエロい?肌もあまり露出していないのに?
「多分大丈夫です。WeTube運営に問い合わせたら『これが原因でアカウントを停止させることや収益剥奪をすることはありえない』と帰ってきたので」
「その他に何か書かれていませんでしたか?」
「『この絵だけで3回はイケる』と」
あかんやん。WeTube運営!!!よくないぞ!!!
「はぁ…わかりました」
「じゃあ次に源さん」
「はいっ!そもそも全員に名前がないのはおかしいと思います!」
確かにそうだ。各キャラのページには『〇〇担当』だけしか書かれていない。
「それは後で話そうとしていましたが、みなさんが名前を決めるからです。できるだけこの会議中に決めたいので、みなさん数候補出しておいてください」
「了解ですっ!」
「最後に赤城さん」
「なんで天野くんと五期生のコラボは3ヶ月後以降なのかしら?これは五期生全体コラボも含むのかしら」
赤城さんからはふつふつとした怒りが伝わってきた。まぁ確かにVtuberは普通同期生コラボから始まるからやっぱりそこは不思議に思うよな。
「これは天野さんのためでもあり、みなさんのためでもあります。五期生全体コラボの場合は大丈夫ですが、マンツーマンの場合は少なくとも3ヶ月、長くて半年以上かかります」
「そうは感じられないと思うけど。記載の通りなら五期生以外はいつやっても大丈夫ってことでしょ?」
「そうなりますね。これは天野さんのファンにコラボを慣れさせていくためです。五期生が初めにやったら今までのライバーのファンが『こんなぽっと出の野郎がなにコラボしてんの???』ってなるのでそれを防ぐためにもあります」
「へぇ〜、そんな理由なんですね」
「お気持ちはわかりますがご理解の程よろしくお願いします」
「まあわかったわ」
腑に落ちていなさそうな返事だ。赤城さん、見た目に反して子供っぽい...?
「質問はもうありませんか?」
会議室が静まる
「なさそうですね。では、お名前を考えてください今回は3分程度で大丈夫ですかね」
またもやタイマーがなる。
天野家の掟には『芸能活動は本名でするべし』という記載があり、それに則って家族は全員活動していた。
だがいきなり天野大知でV業界に出たらどうだろうか、きっと業界内外から色んなことを言われるに違いない。
それでも、仮にも天野家に生まれてきた人間なのだから天野名で生きていくべきだろう。先代もそう望んでいるはずだ。
ピピピピ
「大丈夫ですかね。では天野さんから」
「僕は、天野大知でやっていきます」
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