第10話

「天野様ですね、お待ちしておりました。あちら側の男性エレベーターから14階へどうぞ」


 佐川さんにそう案内される。やっぱり神だわ佐川さん。


「ありがとうございます」


 前と同じ足取りで向かう。いや、前よりかは格段に楽な足取りだろう。受かっていて顔合わせならもう心配することはほぼないのだから。


 それにしても前回は気づかなかったが、このエレベーター家のマンションより遅いな。家のは14階を超えているがストップなしならもう14階はこえているだろうに。男性用だからか?

 と考えているうちについた。まぁ予定より早めにきているので良いかな。


「天野大知さんですね、こちらへどうぞ」


 前回とは打って変わってまともそうな方が案内をしてくれている。

 家族や会社の方以外と話すのは初めてだから緊張するな…


「こちらに入ってお待ちください」


「はい」


 宇宙の旅へ、さあ行かん!


ガラガラガラ


「初めまして、天野大知です。これからよろしくお願いします!」


 部屋を見ると美人が3人いた。この世界は美人が多いと思っていたが、芸能人と大差がないくらいの美人だ。


「あ、えと、よろしくお願いします。風間凛です」


 俺と同年代っぽい女子が最初に自己紹介をしてくれた。少し童顔だが、制服だし16歳あたりだろう。


「私は源讃良、よろしくっ!」


「私は赤城加賀よ。よろしくね」


 続けて自己紹介をしてくれる。源さんは涼香姉さんとは違った元気さがあり、赤城さんは大人っぽい、お姉さんっぽい雰囲気がある。


「ほんとに男性なんだ〜」

「えぇ、会社が嘘をついているのかと」

「私は信じてたけどねっ!」


「ふふ」


 おそらく信じていなかったようで、三者三様の反応を見せる。少し笑みが溢れてしまうが、まあ良いだろう。


「えっと、天野さん?「大知で良いですよ」大知さんはなんでここに?」


「Vtuberっていうものに憧れていまして、自分もなってみたかったので応募して受かりました」


「すごいですね!初の男性Vなんじゃ!?」


「おそらくそうなりますね」


「普段何をして生活していたのかしら?」


「家事とWeTube視聴をしてずっと家にいました」


 なんか面接みたいだな。堅苦しくてちょっと嫌だがまあしょうがない、なんせ720分の1な男なんだ。生活も気になるだろう。


「えっ!?男性に家事をやらせるなんて天野家は男女平等主義なんですか?」


「いや、俺がやることなくて進んでやっていた形になります」


 ここでなぜ天野家とでてきたのか。それは1話か2話でも話した家系の話になる。

 苗字の最初に天とついている家系は上天家系、最後についているのが下天家系と呼ばれており、それぞれ三つずつある。

 その中で上天家系は男性保護主義、下天家系は男女平等主義を昔はとっていて、現在でも続いていると信じられている。上天家系の天野家が男女平等主義を取っているとなれば家全体が懐疑的な目で見られるのだ。


「へぇ〜、えらいねっ!」


ガラガラガラ


「おしゃべりはそこまでにして、これから各キャラの説明に写っていきますのでご着席ください」

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