第7話
というわけで水曜日になり、俺は風道プロのオフィスビルまできていた。電車一本で丸の外に行けるのは強いな。
来る途中にジロジロ見られたが、男が希少だから出歩いているすがたもあまり見れないからなのだろう。
とりあえずエントランスの受付さんに風道プロまで案内をしてもらおう。
「すみません」
「はい、お伺いしま...す?」
「風道プロダクションのオフィスは何階でしょうか?」
「あ、えと、、御来訪の約束はありますでしょうか」
「14:30に面接の約束でまいりました」
「了解しました。少々お待ちください」
それにしてもこの受付の人美人だな。前の世界も受付の方は大体美人が多かったイメージだがそれ以上だ。
「確認できました。あそこの男性用エレベーターから14階へどうぞ」
「ありがとうございます」
できる限りの笑顔で挨拶して行く。この世界の男は傲慢な奴が多いらしく、笑顔なんてよっぽどなことがない限り見れないらしいので俺は好感度アップのために振りまいておく。
ふと考えるが、Vtuber事務所という新興企業なのにこんなオフィス街にオフィスを構えることができるというのはすごい。だってあの丸の外だぜ、財閥とか京証プライム上場企業とかがオフィスを構える場所に構えてるんだ。面接を受けれるだけで本当に名誉なことだ。
『14階です』
ドアが開くと人が立っていた。
「ようこそ、風道プロダクションへ。案内するよ」
「お願いします」
俺より身長が5cmほど高いロングの方が案内をしてくれるらしい。ホームページを見た感じこの人が社長なのかな?中のオフィスは大忙しそうで通路を見向きもしない。
「さぁ、ここだ。入ってくれたまえ」
「失礼します」
中に入ると一人の女性がいた。
「早かったですね。社長」
「あぁ。座ってくれ」
「失礼します」
あんまり面接を受けたことがないため雰囲気で掴んでいく。
「じゃあ面接を始めていく。まず最初に、お名前とご年齢とスリーサイズを教えてくれるか?」
「ちょっと社長!お名前とご年齢だけでいいです」
秘書らしき女性が訂正する。
「はい。天野大知、16歳です」
「なんでここに来ようと思ったんだ?」
「2年程前から鶴留さんを始めた風道プロダクションさんのライバーを見初めまして、私もこんな風に視聴者さんを笑わせたいと感じ、風道プロダクションさんのライバーを志すようになりました」
「でもそれって風道じゃなくてもいいですよね?」
秘書らしき方が発言してくる。やっぱり言われると思ったぜ。
「私は先ほど話しました鶴留さんを始め、風道プロダクションさんのライバーさん方を尊敬しており、そのような方々と共に働きたいと感じた為御社を志望しました」
「なるほど」
「特に聞くことねンだよなぁ~。あ、英語できる?」
何だこの社長。もっと考えておいてくれよ。
「日常会話程度ならできます」
「お~。大学に行くつもりある?」
この世界は成人となれども男は小中高に通えない。男が理性のない女性に襲われないために大学からしか行けないようになっているようだ。それでも大学に通う男は少なく、10人に1人くらいになっているのでほぼ7200分の1人となっている。
ちなみに俺は行こうと思っている。
「一応行くつもりです」
「大学に行った後も休まず続けることを約束してくれるかい?」
「えぇ。必ず」
「わかった。面接は以上だ」
「ありがとうございました」
質問は少なかったが...受かるのか?これ。
紹介して受けたのに受からないとかお母様に申し訳が立たない。
*********
「社長、良かったんですか?もっと質問すればよかったのに」
「私は長く苦しい形が嫌いでね」
「それは知っていますが...」
「それに、あの子の母親から色々聞いていたんだ。あの子をメディア露出させるためにはどうすればいいんだろうみたいな話もよくされていたしな」
「そうなんですね。とりあえず採用ってことで五期生フォルダに入れといていいんですね?」
「あぁ。いれといてくれ」
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