第6話

「「「「「誕生日おめでとう!!!」」」」」


「ありがとう!」


 かれこれ俺も成人の16歳となった。今からお誕生日ケーキを食べるところ。


「大知はいちご一番多いところね」


「ありがとう」


 成人になったらできる幅がとても広がる。車の免許や親なしの契約はもちろん、度数が5%以下のお酒なら飲んでも良いらしい。18歳になると7%、20歳で度数制限無しになるようだ。


「お兄ちゃん、これからどうするの?」


 5歳下の妹、神奈が言ってきた。神奈は菜音や俺とは違い、姉兄母に様付けをせず呼ぶ。元々俺がお姉様とか呼びたいから始めたら菜音もやり始めただけなんだけど。


「どうするってなにが?」


「芸能界入るの?」


「私はお兄様に入ってほしい」


 続けて菜音も言ってきた。

 これは避けては通れない問題だったのだができるだけ先延ばしにしてきた。


「え〜…お母様はどう思う?」


「まあどっちでもいいんじゃないかしら」


 えすげえ適当じゃん


「大知の意向に任せるわ」


 ん〜。これは悩ましい問題だな。


「WeTubeから始めてみたりするのはどう?」


 七海姉様が進言する。


「それはあり!!!」


 それに凉香姉様は激しく同意する。


「うーん、WeTubeならVtuberとかやってみたいかなぁ」


「いいんじゃないかしら。それなら風道プロの面接受けてみる?」


「そうしようかな」


 話がとんとん拍子に決まっていく。そんなことよりケーキ美味しい。


「じゃあこの撮ってる動画、Vtuberになることが決まったらWeTubeにあげていい?」


 凉香姉様はおもむろにビデオカメラを手に取った。天野家では毎年ホームビデオとして全員の誕生日パーティーを動画に撮っているのだ。


「本格的に決まったらね」


「やった!」


 凉香姉様が喜ぶ。多分これから毎年上がるようになるんだろうな。


「ただvtuberになったら顔は隠してね?」


「わかってるって!」


「お兄様、今度一緒に機材買いに行こう?」


「あぁ、そうだね」


 菜音が提案してきたのは多分今のパソコンでは非力だからだろう。菜音は凉香姉様より機械系に詳しく、凉香姉様が情報系なら菜音は工学系なのだろう。


「私も一緒に行く!」


 神奈がそう言ってきた。


「神奈はこれから長期撮影が重なるでしょう」


「お兄ちゃんと一緒に外行きたいもん!」


「この長期撮影が終わったらまた行こうか」


「待ちきれないもん!」


 11歳らしい回答をしてくる。菜音はお淑やかな妹、神奈は元気な妹で本当に親が一緒なのかと疑うレベルだ。あ、父親違うんだったわ。

 お母様はマイペースだし。そう言われると全員にマイペース気質が見えるような。


「まあまあ。誕生日会なのに喧嘩したら俺は神奈のこと嫌いになっちゃうかもな」


「ごめんなさい」


 嫌いになるわけもないが、これを言えば静まるため言わせてもらおう。


「大知、来週の水曜日開いてるかしら」


「いつでもあいてるよ?」


「確か風道のオーディションがその日にあったはずだからオーディション担当の人に連絡しておくわね」


「わかった」


 

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