第8話

「どうだった?」


 家に帰ると涼香姉様が手ごたえを聞いてきた。

 あれから俺は寄り道もせずまっすぐ帰ったが、すごい不安感が俺にはあった。しっかり受け答えはしているはずだが、すぐに終わったしなんか適当だったし。


「なんかよくわかんなかった。不合格かも」


「え~、大知ならいけるって」


「まぁ結果来るまで待機かな」


「そうだね」


 緊張して疲れた。家事は一通り終わってるしちょっと寝ようかな。



*********




 幸一が行って3分ほど経った時、私はカバンの中に自分のものではない何かを見つけた。

 しまった、幸一のお財布だ。


「やばい、私幸一にお財布借りたまんまだった」


「え?いつ借りたの?」


「さっき自動販売機行ったときに幸一のお金で全部買ったんだよね」


「あ~。今からなら追いつくだろうし行ってきたら?三人には私が説明しとくし」


 いつも頼りない鈴乃だが、こういう時は役に立つ。


「じゃあ行ってくる」


「気をつけてね~、


 いつもより早歩き気味で歩く。道は大体わかるし幸一は私より普段の歩くスピードが遅いのでスーパーにつくまでには追い付くだろう。


「ねえ君一人?一緒に回らない?」


「悪いけど」


 同じ高校の生徒がナンパをしてくる。部外者がナンパをしてくることはあまりないが、同じ高校の生徒などをナンパする輩はなぜか多い。まあ一言で断るけど。

私は自他共に認める美少女なのでナンパしてくるやつが多いのも仕方がないだろう。自分で言ってて恥ずかしくなってきた。


 そんなことを考えていると、遠目ながらに幸一が見えてきた。信号待ちの最中か。ならそこまで急ぐ必要もないかな。さっきも言ったように歩くスピードは私のほうが早いし。

 あ、緑になって歩き出した。


 え、トラックが減速せずに走ってきている。


「危ない!!!!」


 キィィィ ドン


 あ...え...





*********




「大知!?どうしたの!?」


「あっ...」


 覚えていないがとてつもない悪夢だった気がする。そして同時に、とても懐かしい気もした。


「すごい苦しそうな顔をしてたけど...」


「いや..大丈夫。というか、姉様なんでこの部屋に?」


 俺は自分の部屋でしっかり寝ていたのだが、なぜか涼香姉様がいた。


「あ、えと、漫画を借りようと思って」


「あね」


 多分嘘だが一応頷いておこう。


「6時だけどご飯作れる?大丈夫じゃなさそうなら私作るけど」


「いや、いけるよ。姉様のお手を煩わせることなんてしないよ」



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