17 これが異世界アンデッドの力なのだっ。
「さて、問題です」
「もぐ~?」
「所持金が半分に激減しましたっ」
「んー……もめま、もむまみっ」
「そう、問題なんですよね」
一気に減っちゃったんだー。現在の所持金は──
金貨2枚
銀貨7枚
銅貨10枚
小銅貨4枚
──になってる。鎧がないから金銭的に、なんとかなってる感じがあるよね。
攻撃力が高いということは、鎧の破損率も高い。修繕費が高いと生活が厳しくなる。
つまり、やられる前にやれ。やられるなら
だ~れも鎧着てないって結果が、今の僕が見た感じの世界観。ハンドレットのガチャで出た防刃ベストも不要だって言ってたしな。地球産の防御効果は、この世界じゃ弱い効果ということみたいだし。
そういえばオークの鎧、ブラッドウィップ・ヘッジホッグモードで穴だらけになってたな。
うん、弱いね。鎧。
鉄なら効果があるかもだけど、
んー、話がずれたな。今の僕らに必要なのは金策だ。ガチャで儲かりはするけど、それだけじゃね。そろそろ敵を倒してオッケーなんて場所じゃなく、素材も含めて持ち帰られるダンジョンに行くべきかな。冒険したいお年頃なのだ。
いい狩場があれば知りたいけど。この世界でも独占とかあるのかなあ?
「考え、決まった? パイアお姉ちゃん」
「ええ。
「ガチャはギリの時だけ?」
「ですかねえ。あ、星の差チェックは必要なので手に入り次第、試します」
「分かった。じゃあ冒険者のランクアップも目指すっ」
「当然ですねっ」
もっと難易度の高いダンジョンなら、星2やそれ以上の
「買い忘れがあったので、明日の冒険前に水袋を買うと覚えててください」
「パイアお姉ちゃん、いるの?」
「私は血があればどうとでもなりますけど、ン・シーには必要でしょ?」
「ううん。3~4週間分は溜め込んであるから平気」
なぬー?
どういうことか聞いてみたら、食い溜め飲み溜めが可能らしい。パワー用だと思い込んでたなあ。だったらすぐじゃなくてもいいや。
「1日分はお腹1分。オヤツとかでも増やしてるから問題ない」
「活動用エナジーの貯蔵庫が謎ですね、私たちは」
「心にご飯用インベントリ~」
「んふっ、なに言ってんですか、ン・シーってば」
「ついでだからリンゴも仕舞っておく」
「私はモモにしよーっと」
とは言っても、ダンジョン泊するなら洗いものも増えるだろうし、その内にでも買うほうがいいでしょう。タオル洗ったりはしそうだしね。
「目立たないチートに乾杯です」
「カンパーイ」
リンゴとモモで。ひと口欲しいとのことなので、ン・シーに食べさせる。代わりに僕はリンゴを食べさせてもらった。
キャッキャキャッキャ。推したちのキャッキャは至高の時間だよー。キャプチャできないのが残念だよね。
ガチャで出ないかな。この世界仕様のヤツ。じゃないと電源がないからさあ、使えないしー。もしくは身体か心か頭のアプリ。能力で手に入れー。
「能力って1人1つなんですかね」
「パイアお姉ちゃん、欲張りさん始めたの?」
「思い出を録画したり、画像で保存したいと思いませんか?」
「そしたら出力するのも必要になるよっ」
「能力って1人1つなんですかね~?」
僕にwebカメラとモニターとプリンターと外付けHDDを、接続できたら解決できるのに。
そんな欲張りムーブをしながら、お風呂場に向かった。キャッキャはしない。
だってン・シーと2人で、お昼に固く誓ったのだから。なんだっけ? 名前忘れたけど、今日行ってたゴブリン多めのダンジョンで。頭の中がヤラシーで満ちてるのは、淑女としてどうなのかってことだよね。
「ボディタオル、もう1つ買っておきますか?」
「洗いっこしたら問題ないよ?」
じゃあいっか。手で洗うほうが肌が痛まないらしいし、洗いっこなら背中も手で洗えるからな。
「シャンプーが欲しいね、パイアお姉ちゃん」
「ねー。ガチャで出ませんかねえ」
欲しいのン・シー以外は出てないからなあ。というより、自分のために使ったのがン・シーの時だな。直近だと。
1割くらいは
「お金も必要ですが、ガチャもしていきたいと思います」
「ン・シーは了解しましたっ」
石鹸で頭を洗うと、キシキシしちゃうからダメー。僕もン・シーも髪の毛は長いから、キシキシは千切れちゃうぜ。
みたいなことを話してたら、他の宿泊客に油を塗るって教えてもらった。
「え? 髪の毛に油を塗るんですか?」
「ええ。売店にもありますよ」
「ン・シーも知らなかった」
「買ってきますね。ありがとうございます」
髪の毛に油塗るんだ? 異世界特有なんだろうか? もしくは男のポンコツ系か。ゲームで拠点を拡張してたら、ン・シーにもそういった知識が増えてたのかもしれないなあ。
拡張してたのは倉庫だったし。
パイアちゃんの課金で、結構ギリなことが多かったし……。
現実になった現在も課金してるようなものか。今は銅貨1枚課金して来たよ。
「あ、ヘアオイル。ン・シーは聞いたことがあったっ」
「わ、私も知ってましたしー」
課金アイテムの管理はデータのほうが優秀だよなあ。だんだんとものが増えてきたよ。なんかその内、服がいっぱいになって宿生活じゃあ、厳しくなりそうな気がしてきた。賃貸住宅的なのも、視野に入れる必要がありそう。
久しぶりにツヤツヤになった髪の毛にご満悦な僕は、不思議なキラキラを撒き散らす雰囲気で歩く。見惚れるがいい。これが異世界アンデッドの力なのだっ。
「アヮーーーーッ」
部屋に戻った僕はン・シーに襲われた。
速攻で。
「ごっ、誤魔化されませんンンンーッ、からね!」
「おのれパイアお姉ちゃんめ、手強い」
「ヒィーーーーッ、ダ、ダメっ、めっ、んんっ・シィ~、ッ」
今日はン・シーのムダ毛処理をしゅるんだっ!
じぇったいっ、にゃのだーーーーぅ
「あっ、、、っきらめにゃっしゃい! きょ、は、無敵でしゅ!」
「うー……仕方ない。ン・シーはパイアお姉ちゃんとお揃いになる」
「はぁはぁ、そ、それでこしょ、ン・シーです」
床に敷いたタオルの上に寝てもらい、バンザイしてもらって除毛ポーションをヌリヌリ。雑談をしながら1~2分放置して、拭き取る。
錬金薬。なんて素晴らしいアイテムなんだ。地球産なんて目じゃないぜ。
「コッチもぉ?」
「ソッチもです」
なんか処理する僕も、凄い恥ずかしい。人類の叡智で、ムダ毛処理しなくてもいい身体って手に入らないのだろうかッ?
ン・シーの恥部をチブった僕は、頭がフンフンになってしまった。しかもそんな僕を見たン・シーが、仕返しに処理済みの僕の恥部を再処理すると宣言。
「生えてませんから! 私、生えてませんからあっ」
「ン・シーは見た。パイアお姉ちゃんのお尻には処すべきものがある」
「そんなっ!?」
あゎーーーーーーっ!?
ころん、グイッ、ぱかー、ヌリヌリと、電光石火で処される僕は、いまだかつてない辱めを受けるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます