15 僕が欲しい服を引き当てた人。
冒険者ギルドで38個の星1
「ダンジョンのは核宝石じゃなくコアだな」
当然そのダンジョンで、最強のガーディアンが守ってるそうだよ。サイズも段違いだし、内包されてるエナジーも破格のものらしい。
「破壊したり盗むと重罪だから、パイアちゃんはガチャに使うなよ?」
「残念です」
「期待できるのにねっ?」
未発見のダンジョンなら、発見者の自由らしいけど、ダンジョンコア盗むより報告したほうが儲かるらしい。なのでわざわざコアにちょっかいを出す人は、ほとんどいないそうだ。
「ダンジョンができる理由も分かってないし、神様の力じゃねぇか?」
ただベルグレさんが言うには、イカレタ錬金術師が過去に盗んで危険な錬金道具を作ったんだって。制作中に失敗して自爆したらしいが、爆心地が大きな湖になってるそうだ。
場所はエダとカッサの間くらいで、神殿のダンジョンが近くにあるんだってー。
わー、覚えあるー。
「私、そこに心当たりあります。というか、その神殿ダンジョンで生まれました」
「まさか錬金術師の仕業? なにか仕込んであったというのか……」
「うーん、隠し扉のようなものは、ありませんでしたけどね」
神様もなにも言ってなかったし。でも制圧班の班長が「あそこは確か……いや、うぬー」みたいになってたのは、これが理由だったのかもなあ。一応ベルグレさんにも、この情報所共有をしておいた。
「あの班長が気にしてたら、再捜査はやってそうです」
「ならいいか。それよりこっちの子を紹介してくれよ! 俺はベルグレだ、よろしくな!」
「よろしくベルグレ、ン・シーはン・シー。パイアお姉ちゃんはン・シーのもの。手出し厳禁っ!」
「お、ぉぅ……」
「つまりン・シーちゃんも望みなしなのか」とか聞こえてきた。日本ではアンデッド好き派閥は小さかったけど、この世界じゃ割と気にしないみたいだね。
良きことである!
でもゴメン。僕たちはラブラブなのだ。
あとスライムもいた。強くて厄介なガーディアンとして。火とか雷とか水分を操るだとか、そんな能力がないと簡単には倒せないって。
「アイツらなんでも食うし、すぐ大きくなりやがるしな」
小っちゃい時ならそこまで難しくないそうだけど、大きいと
じゃあ使い捨てのビニール袋にはならないかあ。
「パイアお姉ちゃん、呼ばれてるよ」
「あ、ハーイ!」
金貨1枚、銀貨1枚、銅貨4枚の収入。
計算通り!
いや、まあ、ただの算数なんだけど。
「おっしパイアちゃん、ガチャ頼むぜ!」
「いいですよー。じゃあ訓練場に行きましょう。ミミックのサイズ以上のものが出たこともありますし」
そういえばこの人……いっつも昼にいるな。冒険者なんてギルドにいる時間は、朝か夕方辺りなのが定番なのに。いつ働いてんの?
「えっ? 50個? 多いのですが!」
僕よりオカシイ人がいたよ、ここに。補填がメンドクサイし、アプグレ来たら無駄になるから断る!
「無駄になったらよぉ、ガチャ料金なしにしてくれるだけでいいぜ!」
「パイアお姉ちゃん、断る理由はないとン・シーは考える」
「そうだそうだ! ン・シーちゃんの言う通りッ」
「うん」
「いや、それはそうですけど……」
ゴールドラッシュのこともあるし、大量投入は避けたいんだよな。
でも能力自体の進化なんて相当なレアだそうで、見ることが可能なら見てみたいと言われた。
それでも僕が渋ってると、ン・シーがコソッと「まだダイジョブ」って耳打ちしてきた。
「ン・シーには見えているっ」
パチパチとウインクしてきた。なにかに気付け……と?
「俺が儲かる未来かっ!?」
「ううん、パイアお姉ちゃんがお得になるという未来~」
「クゥー、俺にもお得であってくれえ……え? ン・シーちゃんて予知系なのか?」
「違う。ン・シーのは鑑定系」
「ぅぉぉ、なんて羨ましい」
またパチパチとウインクしてきた。鑑定……もしかしてミミックを鑑定できてる?
アプグレまでどれくらい必要なのか見えてると!?
僕もパチッとン・シーにウインクし返して、ガチャることにした。まだ平気ならやめる理由はないのだ。
「仕方ないですねえ。では──」
アップグレードが来たら、ガチャは中止と宣言して能力を起動。
ででーん。
「酒じゃねえのかあ」
「レトルト食品1年分ですか……一応同程度の価値? ですか、ねえ?」
どんぶりやの景品1年分。その名の通り丼もののレトルト食品だ。牛、豚、鶏、カレーに中華、親子と、あとはー、麻婆だね。そしてどんぶりやの、どんぶり勘定っぷりも発揮されてるっ。絶対1日1食計算じゃ、1年で消費できない量が出てきた。
SNSでそこそこの頻度で話題になってたよ。「嬉しいけど困る」ってね。景品が一気にドバーっと届くらしいから……。
10食セット10個入りのダンボールが5個……500食分。
「袋ごと5分くらい煮てください。味は保証しますよ。お米があれば、かけて食べるのがベストです」
レシピの素材を集めたら、丼ものも食べられそうだ。問題は素材がどこにあるのかってとこなんだけど。ン・シーと連携してチャレンジしていくしかなさそうかな。だってこの世界の素材で作るみたいだから、見たことのない字面なんだよなあ。コーラ含めてさあ。
まあそこまで求めてるわけじゃないから、着飾るを優先です!
「はい、次のかたドーゾー」
続けて3組のガチャを順次処理していく。毎度あり~。8銀貨儲けましたわよ。
投入した
同ランクの、綺麗にカッティングされて装飾品になった核宝石のパーティ。
それから、僕が欲しい服を引き当てた人。
僕が欲しい服を引き当てた人。
クヤシイ。
買取したかったのに、彼女さんに贈るんだってさ。いいなあ……僕が欲しい服を引き当てた人。ボッチになればいいのに。僕が欲しい服を引き当てた人。
「ヨシヨシ。さすがにそれはダメ。パイアお姉ちゃん」
「うん……」
ン・シーに慰められながら、僕らは買い物のために街へと繰り出す。その時にミミックのアプグレに関して相談しておいた。
やはりン・シーには、ミミックがあとどれくらいで進化するのか見えてるそうだ。なのでアプグレしそうな時は、僕らでガチャることにした。
アプグレ自体は見せてもいい。
だけど、そのあとのガチャは中止を宣言して、2人でゴールドラッシュを狙うことにする。だってン・シークラスの大当たりの可能性があるんだから。これも最重要機密にしよう。
鼻血を出す小細工もアリかな。
「ン・シーが星1の
「確かに。どれくらいポイントが貯まるのか、調べる必要がありますね」
「うん。しばらくは大物狙いしようねっ?」
「オッケー!」
でもその前に、大事な大事なお買い物デートである。僕はン・シーの手を取って握るっ。しかも恋人つなぎ。チラッとン・シーを見たら、ニコッて返された。
ヨシッ!
もし今の僕を僕が見たら、ソレはソレでパイアちゃんに恋してしまう気もするな。凄いご機嫌な顔してるの、自分でも分かるし。夜のフンフンを経験しといて、順番が違う気がする……。
でも嬉しいものは嬉しいんです。
「まずはン・シー武器です」
「んーんっ、まずはご飯の気分。屋台から魅惑の香り!」
「じゃあ買い食いしていきましょー」
「おー!」
お店に辿り着く前に、ン・シーの中にお肉とかお菓子とか果物なんかを、10銅貨分しまうことになった。僕は1小銅貨分で満足できた。屋台の食べ物、なんか量が多くない?
戦闘職多めの地区だからかな。
ほどほどにお腹を満たしたン・シーも、武器のことについて相談してきた。やはりパワーを生かすために、鈍器にするつもりらしい。だけどそのパワーのせいで壊れちゃう可能性もあるってことで、硬いのがあればいいな、とのこと。
「ン・シーはドワーフのおやっさん的な、お店を探したい」
「ドワーフかあ。定番ですね。私も見たいし、聞き込みしながら行きましょう」
人族以外の人たちも見てみたいね。
せっかくのファンタジー世界だしさ。
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ITEM RANK
―
小銅貨
服
★
レトルト食品
装飾品の核宝石
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