14 ガンバレヨ……僕の女王設定……ッ。
「パイアお姉ちゃんの、ブラッディスパイダーウェブ凄かった」
「そ、そう?」
「うん。あれを開発したパイアお姉ちゃんは、やっぱりえっち」
否定はできぬ……。だって暗闇が見渡せるからって、夜の活動をするわけじゃなかったしさ。サバイバルだったし、ものがなかったし、夜の時間が……長くて…………その……。
操血は磨かれたのだ。
良かったのだ。
それで。
それはともかく、どうしよう。早く寝たから、目覚めも早かったよ。まもなく夜明けって時間に起きても、冒険が休みの日じゃあやることがないな。
「じゃあ午前は冒険、午後はお買い物にする」
「資金も増えますし、そうしましょうか」
朝ご飯はかなり早くから出してくれる。とは言っても夜が明けてからだったはずなので、日の出とともに食堂に突撃だね。
僕は血のドレスを纏い、ン・シーは洗濯してない服を着る。
「オークの住居で衣類が全損したのは痛かったです」
「オークチャンプのお肉、美味しかった。時間ある時、狩りに行くべき」
「いいですよ~」
「やったっ」
フニャッと笑うン・シーにドキドキしつつ食堂へ向かう。ガッツリ食べてしっかり稼ぎましょー。
◆
ハフスク
「近場ですし、ゴブリンなら数もいそうです」
「うん。さっそく行くっ」
1番嬢におススメを聞いた僕らは、ダンジョン化した岩山へ向かうことにした。人工的な洞穴ではなく自然の洞穴だから、苔むした場所での戦闘は足が滑るので注意が必要らしい。
僕は飛べるから、まあ平気だろう。
ン・シーも油の上でのカンフー修行があるそうで、問題ないとのお返事。なんなの、そのオカシナ修業は……。
「では稼ぐだけですね。行きましょう、ン・シー」
馬車は使わず、僕らは空からの行軍だ。近所なら普通の馬車だろうし、それなら飛んだほうが早い。そしてン・シーの索敵と僕の操血で、ゴブリンと出会う前に勝負を決める。時間が掛かるのは
しかも汚れないのだ。
「ゴブリン、臭いイメージだった」
「あ、野良のゴブリンは臭いですよ。イメージより……」
「ぅぁ……でもン・シーはチョット見てみたくなった」
ダンジョンのゴブリン、臭くなーい。臭くなるまで活動できないのかな? ここ、結構人が来るみたいだし。ゴブリンの回転率が高いというか……生死の。なんかもったいない使い方してるなあ、ここのダンジョンマスター。いや女王か、女王は。
そんなんだから難易度低いまま、成長もしてないのでは。いや、成長するってことは、それまでに犠牲者も多そうだからダメか。
「そういえばダンジョンマスターという存在が、いるのでしょうか」
「ダンジョンは神様の試練パターンもあるよ、パイアお姉ちゃん」
「自然災害系の設定もありますよねえ」
「どれかなーっ。あ、臭いあり。あっち、約50メートル、ゴブリンだけ、6匹」
「了解」
ダンジョンコアがあるなら、是非ともミミックに食わせたい。いいの出そうだしね。ただカッサの街で管理してる~なんてのを、昨日聞いたしなあ。勝手に取ったらヤバそうではある。今度聞いてみよう。
「上級ゴブリン、いないね」
「群れのボスくらいには、なってないとダメなんでしょう」
「いるとしたら最奥?」
「深さはかなりあるダンジョンですから、今日は行きませんよ?」
「うん。パイアお姉ちゃんの服は必要」
「ン・シーのほうが必要です」
僕は血で作れるからな。
「ダメ。ビックリしたら全裸になってる」
「…………」
「ほらぁ、どこかで見られてるっ!」
「い、1回だけですし」
制圧班全員と、およそ半数の村人っていう甚大な被害を、もたらした事件だったけど。
「絶対必要。せめてブラとショーツだけでも買うべき」
血の下着、食い込んでてエッチなんだって。
僕にぶら下がってる時、いっつも気になるんだって。
「風で捲れたら、パイアお姉ちゃんの食い込みが見られてしまう。他人に見せたらダメ」
僕の下着は厚めにしたことをン・シーに伝えた。
そもそもスカートというのがダメなのでは。飛ぶんだし。
「パンツルックもアリですね」
「へそ出しの超ローライズ?」
「そんなチャレンジはしません!」
ここら辺の人は肌を晒す文化圏じゃないから、そんな格好をしたらハレンチ女子として認識されそうだよ。勝手なイメージだけど、常夏島系の文化だったらアリかもかなーって。
「恥を恥と思ってるパイアお姉ちゃんは、破廉恥じゃない。でもムッツリ。だからえっちな癖に恥ずかしがってカワイイ」
興味津々だけど、恥ずかしくて言えなくて。
真っ赤な顔の奥に、欲しがり屋さんの顔を覗かせてる。
だからイジワルしちゃうんだって。
「おやめなさい、おやめなさい……ン・シー、それ以上は言っちゃダメ」
「恥知らずじゃないパイアお姉ちゃんは、羞恥タグ付きが似合ってカワイイ」
「うーッ」
夜のン・シーは強敵なんだよっ!
ガンバレヨ……僕の女王設定……ッ。
すぐ赤面するんじゃないよっ。
「
「あ、ホントですね」
僕が恥に悶えてる間に、目標である35個を超えていたようだ。色々買い物するから、金貨1枚分くらいは狩ろうって決めてたんだー。
索敵と遠距離攻撃のお陰で、凄く楽な狩りになったな。
血抜きはバッチリだし、肉の油も血のナイフと血のトングで問題ない。ただ、核宝石を拭くためのタオルは、買っておいたほうがいいかな。
血のバッグを使わなくなったら、キッチリ拭かないと汚れちゃうし。
ダンジョンというか、戦闘が起こる可能性のある場所では、操血を戦闘関連に振り分けておきたい。バッグにだってコントロールが必要だからね。コンビニのビニール袋が束であったら便利なんだけどなあ。
1番小っちゃいヤツでいいから欲しいなあ。
核宝石って大きいものじゃないからね。手に握り込めるサイズというか、そのくらいだし。ビニール袋に似た袋、売ってたりしないかな?
「スライムっているんでしょうか?」
「ン・シーは知らない。必要?」
「スライムが1番ビニールになりそうかなと」
「おー、汚れもの入れるの、便利になるね」
「でしょー?」
ギルドに戻ったら聞いてみよう。
よし、剥ぎ取り終わり。全部星1のだけど、総数は38個。星1核宝石は1個銅貨3枚なので、銅貨114枚分。
つまり金貨1枚、銀貨1枚、銅貨4枚の収入だ。
ン・シーにはなるべくいい武器を使ってもらいたいからな。金貨2枚くらいは見ておこうかと。
でも星付きには届かないんだろうな。
星1のワンピースが金貨2枚とか言ってたっからね。買う時は、もっとするだろう。あれは売値だし。
「では帰還します」
「了解っ」
「スカートの中は覗かないでくださいよ」
「チェックは必要」
「不要ですが?」
「パイアお姉ちゃんの恥は、ン・シーだけのもの。チェックする」
他人に与えてはならないのって怒られた。
理不尽っ。
ン・シーだってスカートなのにって文句を言ったら、ストッキングが厚いし黒だから影になって見えないと返された。
やはり冒険の時はパンツルックか……でもファンタジーのドレスアーマーは、いいものだからなあ。
とても。
く、黒いのにするか? 下着……。お、大人過ぎるか? パイアちゃんの外見で黒は…………考えておこう。
覗かれても影になるそうだしっ。
「パイアお姉ちゃん、ポーカーフェイス覚えよ?」
「えっ!?」
「うん。えっちなこと考えてる顔がバレバレ」
マッズイ。
なんかン・シーが来てくれてからこっち、頭の中がピンクに支配されてるかもしれない。いや、支配されてるんだろうな。好きな子と好きな子がペアになってるのに、その片方が僕という状況。
「タガが外れていたようです。気を付けますね」
「ン・シーも。イチャイチャは個室でのみの秘めごとに、しなくてはならないと考えるっ」
僕たちは固く心に誓って、ハフスク
「チューはいいの?」
「ダメです」
「軽くなら?」
「ちょ、ちょこっとだけなら……」
気持ちだけはカッチカチですわー。
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