08 僕のお胸をビンタして、左右に揺らす遊びを始めた
「うわぁ、ホントにツルツルです」
腹を割って話す雰囲気で、尻を割って見てみたんだ。部屋に戻って備品の手鏡を使って。剃るより断然上だな、除毛ポーションの攻撃力は。不思議なことに、ふしだらスタイルで恥部を見てるのに、ふしだら気分にならなかった。
全く持って不思議。
よって僕は食堂に向かうことができるのだ。お風呂場での我は──痴態など晒してはおらぬのだ。オラヌノダッ!
たとえ10本の手が相手だったとしてもぉぉ……。
「パイア、こっち!」
「ハーイ、お待たせしたみたいですね」
お食事に誘われたので、10ハンドシスターズの席に混じる僕。いや、パーティ名はまだ聞いてないから知らないんだけども。
「いいよいいよ、グニャグニャだったしさ」
「それは言わない約束よ、おとっつぁん」
「誰がおとっつぁんよー」
お酒も入ってないのにキャッキャする僕たち。約束おとっつぁんネタは通じないけど、じゃれ合えるネタのようだね。というかお風呂場での痴態を、思い出させないで欲しい。恥ずかしいのだから。
お酒を酌み交わしながらアレコレと聞いたところ、このパーティのハンドレットっていうんだって。名前の意味は100のダンジョンを巡ってみたいという理由だそう。冒険者らしい答えだね。
そしてなんと上位陣の一角だった。
先輩と呼ぼう。
決して名前が覚えられなかったからじゃあ、ないよ。
ナイヨ。
「私たちは、わりと最近エダに来たのよ」
「私もですね。わりとというか、来たのは今朝ですけど」
「じゃあエダ初心者なんですね」
「ですです。なのでコスパのいいブーツとバッグが、手に入るお店を知りたいです」
あと除毛ポーションが売ってるお店も、教えてもらった。
「明日、ダンジョン帰りにでも行きます」
「パイアも入るの? じゃあ試しに一緒する?」
「そうだね、楽しそうじゃん!」
うーん、誘ってくれるのは嬉しいし、色んな能力を見たいってのもあるけど……。
「いえ、やめておきます。私の能力の関係で、かなりガメツク生きなくてはいけないので」
「そうなの? 残念だわ」
「そうなのです。先輩方には申し訳ありませんが」
能力のことを聞かれたので、今日あったことを話した。
「という訳で、私の能力は1回銀貨2枚です」
「パイアの情報量が多いのですが……」
「ヴァンパイアのパイアって、名付けは自分でしょ? 安直なんだけど、凄く」
「それより異世界からの転生者というのが、私は気になりすぎる」
「クッ、今日も冒険者ギルドに行っておけば良かったぁ」
「あはは、今日の晩ご飯驕ってくれたら初回はサービスしますよ~」
ただハズレは多いと、何度も忠告はしておく。
「では次の冒険が終わった時にでも頼もう」
「了解でーす」
僕もハンドレットも、明日は朝っぱらから活動が決定してるので、深酒をしない内に解散となった。冒険の準備をしなくちゃね。
といっても早く寝るくらいしかないんだけど。
装備品なんて持ってないからなあ。
油断しなければ、なんとかなるでしょう。早めにギルドに行って、おススメの狩場でも紹介してもらおーっと。不人気ダンジョンなら人もいないだろうし、いっぱい狩りができるんじゃないかと思う。
人が入らなきゃモンスターが増えるのは定番でしょ。ガーディアンも一緒だと期待しよう。
「そんなわけで、そこに出るガーディアンの素材部分もついでに教えて欲しいです」
「大丈夫ですか? パイアさんはソロですし」
「問題ありません。怪我もすぐに治りますので」
僕は1番嬢さんからオークのダンジョンを教えてもらった。素材は肉だけど、オークより討伐が簡単で、肉も同等のガーディアンがいるらしく、わざわざオークダンジョンに入る人は少ないんだって。
オークは人型だし、武器や防具を装備してるのも豚型ガーディアンより面倒な点とのこと。能力の練習やパーティ間の連携を確かめるとか、そんな利用のされかたなんだって。オークダンジョンは。
なら僕には丁度いいね。血のある相手だし相性は良さそうだよ。少し遠い場所なので、スレイプニルの高速馬車を利用する。これも不人気ダンジョンになる理由の1つだな。片道銀貨1枚かあ。
泊りになることも考慮して、片道のみ支払い。帰りは飛んでもいいしね。空路はスレイプニルくんのお陰でバッチリさ。ただ、さすがに飛行速度はスレイプニルと比べたら劣るので、時間は掛かっちゃうかな。
「馬車ごと飛ぶなんて凄いですね!」
「自慢の愛馬でございます」
チョイチョイこのダンジョン側で、オークの間引きもしてるんだって。人が来ないから、ダンジョンがオークをお漏らししてるみたいだ。人里も遠いし、スレイプニルに乗って轢き殺してるそうです。
「放置で良いので楽ですぞ」
「なんかもったいないですねえ」
「長く続けていればどうしても、ということですな。では御武運を」
「ハーイ、行って来ます!」
今日も間引きして帰るってさ。
僕は血と肉と
プスッと刺してっ、血・抜・きっ。
プスッと刺してっ、血・抜・きぃ。
楽ちんだ~。
「人が来ないなら、凄惨な現場になっても問題ありませんしね」
問題なのはお肉をゲットするタイミングかな? 帰りじゃないと邪魔になるしさ。核宝石はバッグに入れておけるサイズだからいいんだけど、数が増えるとパンパンになっちゃうし。
オークダンジョンは迷宮型だ。なので部屋がいくつかある。リポップとかどうなってるのか分かんないけど、小部屋に荷物を置いておくのも手かな。
こんな風に稼ぐことばっか考えながら行動して、大丈夫なのかっていうことなんだけど。
ダイジョバナイ……。
紫色の小っちゃいオークから、毒を喰らって動けなくなりました。
問題なのが、
足を切断されても生えるから……。
オークの中に肉の錬金術師が爆誕して、群れの中での階級が上がったヤツがいる。紫ヤローめ。早く油断してくれないかなあ、って思って3日目なのです。毎日毒を塗りやがってえ。
殺さない配慮なのか、マズそうな草のスープみたいなのを、カワイイ子オークが1日2回持って来てくれる。
でも初日の夜に来た時、僕のお胸をビンタして、左右に揺らす遊びを始めた挙句、爆笑してたので始末したった。まあ、そのせいで油断しなくなったんだけど……後悔はしてない。
朝に毒を塗られても、夜には操血可能な程度になる。夜は忘れてしまえー。
不幸中の幸いなのが、薄い本展開がなかったことだ。セフセフ。カワイイやカッコイイを感じても、類人猿と致そうなんて考えない人と同じってことだろう。
セフセフゥ……。
精神的におかしくならなかったのも、セフセフ案件だった。油断した瞬間を、絶対に逃さないよ!
チャンスは5日目の夜にやってきた。僕に毒を使ってくる小型の紫オークが、ボスであろう大型オークに小突かれながら入って来たんだ。言葉は分からないけど、可哀想になるくらいボコボコにされて、泣きながら僕を指さす紫くん。
ボスには内緒で僕を食ってたのか? 舌なめずりをしながら向かってくるボスが、鎖につながれている僕の腕を千切りながら持ち上げる。
腕は部下に与えて、残りはお持ち帰りして全部食べるつもりらしい。
僕のサバイバル時代よりいい部屋だ。グゥゥ、ぐやじいぃぃっ。そんなことを思いながら、食べられた太ももの肉を飲み込むまでガマンする。血液は僕から切断していない。
身体の中から、僕の憎しみを受けるがいいさ!
バーカ、バァァァカ! もっとサバイバルしろっ!
「ふぅ、またつまらない嫉妬をしてしまいました」
ボスオークの血は栄養満点だったようで、僕の身体は5分ほどで再生した。強いヤツのほうが効率的に、僕のエナジーを補填できるんだな。核宝石のパワーもおっきいだろうし、能力的にもお得だ。
とりあえずこの群を殲滅して、肉はボスのだけを丸ごと持って帰ることにしよう。そこそこの値段にはなると思うし、核宝石は全部ミミック行きかな。
そうとなればササっとテキパキ行動を心掛けましょー。
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