07 錬金術を行使する僕。
「明日からはお金獲りますからね!」
15人。
15人は多いよ。
さすがにそれぞれ毎度起動しなおすのは手間だったので、パーティ単位にしてもらった。それでも4回起動しなおす羽目になっちゃったよ。
僕的には微妙かなと思ったけど、元の世界のものやそれなりに役立つものが出たみたいで、みんな満足してた様子。たくあんは好みが分かれてるみたいだった。
もちろん明らかなハズレもあったよ。雪とか土とか水とかね。水なんかペットボトルで出してくれよ……紙袋で出すなよな、マジで。
「ウーン、いくらくらいが妥当でしょうか。銅貨5枚とかですかね?」
「いや、そんなんじゃ殺到するだろ」
「正直言うと、まだ貨幣の価値が分かっていません」
そうだ、ついでだから所持品を売っちゃおう。見せたシェーバー含め、たくあんの乗っていた小皿23枚、ビー玉が1袋に12個のヤツにスーパーボールがバラで5個。
まだブー垂れてる2番嬢さんに買取を頼んだ。
「金貨は高いですよねえ。ひと月暮らせるって聞きましたし、銀貨1枚くらい?」
「銀貨5枚くらいじゃねぇか?」
なーんてベルグレさんと話してたら、銀5は高いと声が上がった。彼は上位陣だしな。結局ここにいるみんなと話し合って、銀貨2枚ならということになった。
僕の言う1枚だと、ズルズル使っちゃいそうなんだって。
「……分かります」
つまり銀貨1枚は5000~1万円くらいっ!
ズルズル課金して、あとで恐怖におののく金額ッッ!!
僕もチョコロ買う感覚で、1万円使える富豪になりないよ。
銀貨2枚ならチョット稼いだ時にお遊びで、って感覚っぽいな。この世界ではゴブリン7匹でお釣りがくるから、丁度いいかもね。ゴブ7なら2グループ見つければ、それでいいし。
お金の価値を理解したところで、所持品の売却金を持って来てくれた。
「そこそこのお値段になったよ、パイアさん」
「やった、ありがたいですね~」
シェーバー金貨1枚。
たくあん小皿1枚が小銅貨1枚で、銅貨2枚と小銅貨3枚。
ビー玉1個銅貨1枚で、銀貨1枚と銅貨2枚。
スーパーボール1個銅貨5枚で、銀貨2枚と銅貨5枚。
総額は金貨1枚、銀貨3枚、銅貨9枚、小銅貨3枚だった。
「まあまあ良かったんじゃねえか?」
「1日という条件なら……でもこれ、5ヶ月毎日やった結果ですよ。ほらぁっ、割に合わない!」
5ヶ月で14万弱しか稼いでないことに、なってるじゃんっ!!
「ベルグレさんのが1番いいものでした。憎い。呪いたくなる気分です」
「俺も迂闊だったと……心の底から反省している。泣きたい。あんなウマイ酒を……俺は……俺はッッッ」
「飲みたい気分になってきましたが……宿探しに行かないと。2番嬢さん、いいところありませんか?」
「それなら中央通りを──」
いくつか教えてもらったところで、さっそく向かいますか。2番の受付嬢にお礼を言ってギルドを辞する。エダの街は夕日に照らされて、朱色になっていた。地中海辺りへ海外旅行に行くと、こんな感じなのかな?
「石造りの綺麗な街ですね~」
異世界の街って、馬糞とか落ちてるイメージだったけどな! 移動手段が馬だったけどセーフでした。なにかしらの手段があるのか、人海戦術なのかは分かんないけど。
臭くな~い。でもそれが正義。
しかし
おつまみも期待しちゃおーっと。
冒険者ギルドに一番近い一番おススメの宿が、幸いにも空室ありだった。1泊銅貨5枚で2食付き。
そういえばギルドにお金預けるの忘れてたな。
「20日の契約なら金貨1枚で、1ヶ月泊まれるサービスがあるわよ」
「じゃあそれでお願いします」
「ただし! たまに配膳を頼むこともありまーす」
「えっ? ズルい!」
たまにだから~とか言って、僕が出した金貨を素早くお片付けする店員。異世界だし、たまにだったら、まあいいかあ。
宿泊客は女子限定だけど、食堂はそんなことない。つまりは、そういうこと。
「お尻とか触ってくるような輩には、パンチで分かってもらいますから」
「備品は壊すと弁償だからね」
客を客寄せに使うとか、異世界はしたたかだなー。
僕は部屋に荷物を置いて、まずはお風呂に入ることにした。お風呂横の売店で、いい匂いの石鹸とボディタオルを購入。
いい匂いの石鹸、高いのでは? 銅貨1枚だよ? だいたいだけど、ゴブ3分の1なんだけど?
臭い石鹸は小銅貨4枚だったのに、倍以上するじゃん。ボディタオルはタオルと一緒で小銅貨4枚なのでセーフかな。
なにがセーフか分かんないけど、まずは身体をちゃんと洗おう。サバイバルの時は、だいたいパワーでなんとかしてたし、のんびりしましょう~。お湯や調理のための火起こしがパワー系だったからなあ。
街に入る前の日に一応は臭い石鹸を使って洗ったけど、河の水だしね。お湯でいい匂いの石鹸を使うと、磨かれるってもんだよ。
「でもシャワーが水な件?」
「
「あらー? そういう仕組みでしたか。ありがとうございます」
「うん、売店で売ってるから買って来なよ」
「ハーイ」
戦士女子風なお姉さんに教わって、再び売店に。当たり前のことなんだろうけど、フロントで教えて欲しかったなあと思いながら、銅貨5枚を献上する羽目に。
低レベルの核宝石を銅貨3枚で売って、同レベルの核宝石を銅貨5枚で買うという錬金術を駆使する僕。
カナシイ。
エダに来る前に狩ったヤツらの核宝石は、残しておけば良かったな。全部ミミック行きにしちゃったよ。服とかバッグを狙ってワンチャン賭けて負ける、毎度お馴染みのループでしたけどねッ。
「ふぅ~、お湯はイイ」
ピカピカに磨き上げた僕は、久しぶりのお風呂を堪能する。パワーがあるといっても、さすがに焚き火でお風呂分は辛いのでやったことないし。水浴びはしてたとはいえ、さすがに数ヶ月ぶりっていうのはキチャナかったかな……?
でも垢なんて浮いてなかったしセーフ……か? 臭くもなかったし。むしろ臭い石鹸のほうが臭ってた気がするような。アンデッドだから垢とか出ないのかなあ。
でも毛は生えるんだよなあ。僕的には許されざるムダ毛がさあ。人前でするのは恥ずかしいけど、お風呂で処理するのがいいよな。鏡あるし。
「ちょっと! なにやってんの!?」
「え? ああ、大丈夫ですよ。その、ム、ムダ毛の処理をするだけなので……そのぉ、恥ずかしいからあんまり見ないで……」
手首切るのを見られたっぽい。失敗失敗。
でもムダ毛処理の格好って、すごく情けない姿になるから見ないで欲しいですぅ。
「ム、ムダ毛処理? 手首切って?」
「そういう種族だと思ってもらえば。ほら」
血液をコントロールして、戦士女子に見せる。
血の鞭をクネクネさせると、つられて揺れる戦士女子の胸。
僕のも揺れてた。
「血をコントロールして刃物にして使ってるんです」
「へぇ」
「いや、だから見ないで欲しいんですけどッ」
「だって不思議だし?」
腋はまだいいとしても……股間の処理中は恥ずかしいんだよ!
足をガニッと開いて覗く姿は!
さすがに股間を処理する時は離れてくれたけど、こっちを気にする視線が増えたような。
なぜだ、他のみんなも処理してるじゃん。
「あのぉ、どうして私の処理を見てるんですか?」
「だって可愛いもん」
「だよね。なんかウズウズしちゃうよ」
「股間をモジモジがとてもエッチだ」
「大して濃くない上に、金髪だから目立ちませんのに」
「忘れかけてた女子力を思い出したわ」
変だなー。
男の僕が女の子を見て、フンスフンスする場面のはずなのになー。
なんで僕が見られて、恥ずかしくてモジモジする羽目になってんの?
「ぁゎーっ!!」
「キレイ」「スベスベ」「ツルツル」「プニプニ」「カワイイ」
「ゥ、ャ、ェェ……」
「「「「「私が手伝ってあげる」」」」」
撫でられたり突かれたりの同時攻撃で、クニャンクニャンになった僕。
1人では無理な場所まで除毛された。されてしまった。
「ァーーーーッ」
除毛ポーションの効果は抜群だったって、僕は知るのでしたとさ。
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