第18話 クラスメイト
*
「お腹すいたな......」
午前の授業が終わった。
魔法学園というからには、ひたすら魔術の勉強や演習を行うのかなと思っていたけど...そうでもなかった。
フツーに一般的な科目の授業も行われた。
午後には魔術演習もあるけど。
「なんだかんだ、やっぱり学校なんだな......」
なんて当たり前のことをつぶやいていると、ふと目の前にひとりの女子生徒が現れる。
「どうも初めまして。私は学級委員長のユイミ・テレジア・ジークレフです」
「あっ、あの、は、はは初めまして。八十神天従です」
つい
自分が人見知りっていうのもあるけど、それよりも何よりも......
(めちゃくちゃ綺麗な娘だ!!)
白く小さい顔には
身長は女の子としては平均ぐらいだけど、その
......一瞬で思った。
(どこかの名家の御令嬢だ!)
その
「ポランくん。お昼休みを使って彼に学校を案内してあげてくれないかしら」
「えええ??ぼ、ぼく??」
ポランという生徒はビックリしてあわあわとなるが、学級委員長の冷たい眼を見てすぐに
「わ、わかったよ、ユイちゃん。ぼ、ぼくが、ヤソガミくんを、案内すればいいんだね......」
「ユイちゃん?」
ピクッとする学級委員長。
「それ、私のこと?」
「あっ、ごごごめんなさい!ジークレフさん!」
「まあいいわ。じゃあよろしく」
学級委員長は素っ気なくきびすを返して立ち去っていった。
ふたりのやり取りを見ながら思う。
俺を案内するのって...そんなにイヤなことなの?
てゆーか俺って、すでに嫌われている!?
「なんか、ヘコんできた......」
ずーんとなったけど、
「あ、あの!ヤソガミくん!」
それに気づいたのかポランくんがすかさず声をかけてくれた。
「ぼ、ぼくが、学校を案内します!」
「あ、はい。お願いします」
「ま、まずは食堂に、行こうか!」
教室を出る。
ポランくんが食堂に向かう廊下を歩きはじめた。
俺がポランくんの肩幅の狭い小さい背中を前に歩いていたら、不意に彼がピタッと立ち止まってクルッと振り向いた。
「あ、あああの、自己紹介がまだだったよね。ぼ、ぼくはフェエル・ポランです。よ、よろしくお願いします......」
ポランくんはもじもじしながらはにかんで挨拶した。
「八十神です。こちらこそよろしくお願いします」
挨拶を返しながら初めて彼のことをよく見てみる。
キレイな銀髪に美肌に小顔。
心優しそうな目に
背丈の低い華奢な身体に内股気味の細い脚......。
(ポランくんて、ポランくん??)
この学校は、女子はスカート、男子はスラックスで統一されている。
ポランくんはスラックスを
もし彼がもう少し髪を伸ばしてスカート姿だったら、フツーにめちゃめちゃ可愛い女子にしか見えないぞ!
「あ、あの、なんでじっと見ているのかな......」
ポランくんが恥ずかしそうに言った。
「な、ななななんでもないよ!」
思わずさっきの美少女学級委員長に対してと同じように動揺してしまった。
むしろ気弱そうで優しそうなポランくんのほうが俺好みかも?
て、どさくさに紛れてなにを考えているんだ俺は!
「そ、そういえばさ!」
気を取り直して話題を振ってみた。
「さっきの学級委員長...ジークレフさん?貴族のお嬢様かなんかなのかな」
「えっ?う、うん。ユイちゃんは名家であるジークレフ家のご令嬢だよ」
「......ポランくんはジークレフさんと仲が良いんだね?」
「あっ」
ポランくんはハッとして、なぜか答えにくそうに目を逸らした。
「昔は、ね......」
目をふせて表情を曇らせるポランくん。
え、俺。さっそく地雷踏んじゃった!?
「は、はやく食堂に行こうか!」
俺は焦って誤魔化すように言った。
ポランくんは申し訳なさそうな笑みを浮かべてから、
「そうだね。行こうか」
前を向いて歩きだした。
......どうやらポランくんとジークレフさんの間にはなにかあるらしい。
とりあえず、ポランくんにジークレフさんに関する話題を振るのはやめておこう。
ジークレフさんにも、ポランくんの話はやめておいたほうが良さそうだな......。
※イメージ画像
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