第3話 別次元の世界?
*
「......ということじゃ。あとは実際に暮らしながら学び、知っていけばよい」
「いやいやいやいや!全然わからないんですけどー!!」
「ふんっ。まだ来たばかりじゃからな。無理もないわな」
......しゃべる兎の説明によれば、ここは〔オリエンス〕という国らしい。
そしてなぜか救世主とやらに選ばれてしまった俺がここに連れてこられた...とのこと。
これだけでも一高校生の理解を遥かに超えてわけがわからないけど、それよりも何よりも問題は......
ここが別次元の世界?だということ!
つまり、飛行機や船で帰れる場所じゃないってこと!
というか、帰れないってこと!!
「うぅぅぅ......」
「なんじゃ。何を落ち込んでおる」
「そりゃ落ちこむだろ!だって日本に帰れないんだろ!?」
「別に帰れないとは言っておらんぞ」
「えっ??」
「オイラが説明したお主の役割を果たせば、その時はお主の望みも叶うじゃろう。過去の救世主もそうだったという伝承を先代から聞いておる」
「そうなの!?ええと役割って......仲間を見つけて国を救うとかいうゲームみたいな話だよな?」
「ゲームじゃないぞ。これは現実じゃぞ。魔法も実在する」
「魔法って......ダメだ。考えれば考えるほどわけがわからない」
「わからないだけで、信じないわけでもないんじゃな?」
「それは、だって......すでに信じられないことがたくさん起こっているし。〔転移〕と〔喋る兎〕だけでも充分ファンタジーだよ」
「イナバじゃ」
「は?」
「オイラはただの喋る兎ではない。
「神使の白兎?名前がイナバ?え?ま、まさか......
「お主の家、すなわち神社で
「
※(注)
古事記に
「でも、古事記に出てくる『八十神』は、因幡の白兎にヒドイことするんだよな。たしか、皮が
「小僧。神使の白兎を虐待するつもりか?
「そんなことしないよ!そもそも八十神家の
「まあよい。神話は神話じゃ。何かしら関係があるのやも知れんが」
「やもしれんて......イナバも全部わかっているわけではないの?」
「オイラにもわかっておることは少ない。オイラはあくまで選ばれたお主を導くだけじゃ」
「で、でもさ。なんで俺なの?それこそ大国主神を祀ってる神社は他にもあるぞ?ハッキリ言ってうちの神社はマイナーだし...」
「それは知らんと言ったじゃろ」
「だけど!」
「他のメジャーどころは本業で忙しいんじゃろ。それで暇そうなお主のところへオファーがおりてきたのかもしれんな」
「なにその何だか失礼な選ばれかた......」
「とにかく!まずはこの状況をなんとかするぞ!」
「そ、そうだよ!なにか方法は...」
「待て!誰か来る!」
誰だ?
コツコツと誰かがこちらへ歩いてくる足音が聞こえる。
まさか......執行官的な?
ついに処刑されるのか!?
い、イヤだ!死にたくない!
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