ようやく
日本国の総理と省庁のトップが道真公と相対し、吐きそうになりながらも接待を終えた後に、官庁の方へと戻って死んだように眠っていた頃。
「ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああああああ」
蓮夜と玲香、イキシアは途方に暮れていた。
何もない砂漠。
そこを永遠と歩く三人は普通に発狂しそうな形である。
「……うぅ。神社ぁ」
蓮夜は二人と共に歩きながら、己の神社のことについて頭を回している。
「少しの間、神社を開けることさえ許されないの……?そんなに心配するようなことなの?」
憂鬱そうな蓮夜に対し、玲香が疑問の声を投げかける。
「……わからない」
玲香の言葉に蓮夜はそっと視線をそらしながら答える。
「……どういう扱いで僕がここにいるのか、それがわからない。最悪の場合は……我らが主神の方が大暴れしていてもおかしくない。はぁー、じいちゃんが何かが僕の代わりに神社へといてくれているといいのだけど」
「あ、あの神社ってそんなヤバいところなの?」
「うん……結構ヤバいかなぁ。はぁー」
玲香の言葉に頷く蓮夜は一人、深々とため息を吐きながら歩き続けるのだった。
■■■■■
どれだけの月日が経っただろうか?
しっかりとわかる。
三週間と二日に五時間45分24秒だ。本当に長かった。
「ようやく……マジでようやくたどり着いた」
だがしかし、ようやく僕たちは塔並びに自分たちの生活拠点があった洞窟へと戻ってこれていた。
「まずは洞窟の確認からかな?」
「そうね」
「きゅーいっ!」
僕たちはまず塔の方ではなく洞窟の方に向かっていく。
「……まっ、やっぱりこうなっているよね」
洞窟の中。
そこはちょっと、目を覆いたくなるような惨状だった。
畑の方はまだ生きているのが何個かあるかもしれない……だが、何の食料も与えられなかった鶏や豚などの家畜は全滅していた。
そして、その肉ももう腐ってしまっている。
「ここらへんは全部処分になっちゃうよね」
「……だろうね。ごめんね?イキシア。君が作ってきたここをこんな惨状にしちゃって」
「きゅーいっ!」
ここを管理していたであろうイキシアへの謝罪の言葉。
それに対して、イキシアは気にするなと言わんばかりに首を鳴き声を上げる。
「ありがとう」
僕はそんなイキシアの言葉に感謝の言葉を告げ、再度。
視線をこの洞窟の内部へと戻す。
「……これはもう後がなくなったに近いかもね」
そして、そのまま小さく独り言を漏らし、個人的な覚悟を決めるのだった。
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