建物
空間に突如として空いた穴に呑み込まれてやってきた謎の砂漠。
そこを歩く僕と神薙さんは共に砂漠を歩き、自分たちの場所から見えていた巨大な建物の場所へとやってきていた。
「……どんな建物なんだが」
「ずいぶんと個性的なところね」
自分たちの前にそびえたっている建物はずいぶんと個性的で、見たことないようなものだった。
「どこから入ればいいのだ……?」
まず建物の入り口もわからない。
何か白いものに建物全体を覆われており、どうやって何か入ればいいのかもわからなかった。
「……どこだろうね?」
僕は神薙さんと建物の周りを一周してみるが、どこに入り口があるのかいまいちわからない。
「……仕方ない」
このまま途方に暮れていてもどうしようもない。
僕は目の前の建物を覆っている白いものへと触れてみる。
「……なんだ、これ、糸?カビ?」
これがなんであったか、それは触ってみてもわからなかった。
だが、そこまで有害なものでもなさそうだ。触れてみた感じ、第六感が働かなかった。
「さて、と。とりあえずはどうするか」
「魔法とかで打ち抜いてみる?」
「……そうだね。それしかないか。お願いイキシア」
神薙さんの言葉に頷いた僕はイキシアをいつものように召喚しようとする。
「んっ……?」
だが、この場にイキシアを召喚することは出来なかった。
「なんでじゃ?」
えっ?なんでイキシアが出てこないの?
僕はほかの魔物も呼ぼうとするが、どれもこれもうんともすんとも言わず応答はなかった。
「……じゃあ、武器庫は?」
僕は武器庫より剣を一つ取り出す……取り出せたな。
普通に武器庫は使えるのか。じゃあ、なんで魔物たちを召喚できないのだ?
「イキシアちゃんたちは呼べないの?」
「……呼べなかったな」
僕は自分の隣にいる神薙さんの言葉に頷く。
「とりあえずはこの剣を使って破ってみるよ」
「うん、おねがい」
僕は自身の手にある剣の効力を発動。
すると、一気に剣より開放された炎が目の前の建物へとあたり、その外側をぶち抜いて中へと入りこんでいく。
「うっ……!」
「……っ!?」
すると、一気にこの場へと強烈な腐敗臭が立ち込めてくる。
「えっ……?もしかして、これって生物なの?」
「み、みたい……?」
腐敗臭の正体。
それは僕の放った剣の炎がぶち抜いた先のもの。
建物だと思っていたものから出てきた、腐敗してドロドロに溶けた肉から立ち上っている匂いだった。
「……嘘でしょ?」
僕は高層ビルほどに高い目の前の建物、もとい生物の死骸を前にして困惑の声をあげるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます