第六章 個性豊かな事務所
事務所
「ふふふ……僕もこうして飲食店でコーヒーを大人っぽく啜れるだけの能力を得られるようになったのだよ」
僕はドヤ顔を浮かべながらコーヒーを気分良く啜る。
うん、苦くて美味しくない。
ちょっとミルクと砂糖……。
「ははは、それなら良かったよ」
そんな僕を前にして神薙さんが楽しそうに笑みを浮かべる。
今、僕は神薙さんと一緒にカフェへとやってきているのである。
ようやく僕も自分で食べたものを自分のお金で払えるようになったのである。
「……あぁ、でも。お金とか入ってきたならさ」
「ん?」
「税金とかはちゃんと払えている?」
「あっ、それは大丈夫。うちの家系は基本的に税金払わないから」
「……へっ?」
「うちは神社の中でも特別の中の特別だから。一応、総理大臣とかにも確認したけど大丈夫だって」
「……どういうこと?」
あくまで日照神社と日本国は同盟関係に近いのだ。
僕のところは日本国が生まれる前からあるし、別に何かの争いで負けて日本国の傘下に入ったとかではない。
あくまで同じ大和民族であり、日本列島で共生するものとしての同盟。
神社の神主が日本のために祈祷を捧げると共に神々を鎮め、そのかわりに日本国が僕たちの一族のものに日本国籍と国民が受けられるサービルを受けることが出来る。
そのような契約を交わしているのである。
「……まぁ、色々とあってね」
だが、これらは神薙さんに話すことはでないだろう。
僕は適当にごまかす。
「……なんとなくだけどあまり踏み込まなくて良さそうね」
「その方が良いと思うよ」
僕は神薙さんの言葉にうなづく。
うちの神社の歴史はかなり深いのだ。色々と、今ある日本の歴史をひっくり返るような情報もあるし。
僕たちは税金のことをスルーして別の話題へと映し、色々な雑談に花を咲かしていく。
「それで、これからも……個人で配信活動を続けていくの?ほ、ほら、事務所に入ったりとかは……」
その中で、神薙さんが事務所についての話題を出してくる。
「あぁ……そっか。まだ神薙さんには言っていなかったか」
ほぼ毎日のように連絡を取り合い、学校でも友達として仲良くやっている中で、僕はまだ一回も言っていなかったか。
「僕はもう事務所に入ることが決まっているんだよね。収益化する前にはもう誘われてて……えっとね、生徒会長が運営している事務所になっているよ。加入発表も近頃行う予定だよ」
「……へっ?」
疑問に対する僕の言葉を聞いた神薙さんがその動きを止めて固まってしまうのだった。
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