お賃金
事務所のサポートを受けながら配信を数回ほど行うようになってからの僕の生活はこれまでと大きく変わり、流れるように進んでいった。
そして配信活動を開始してから一ヶ月ほど。
「お、おぉ……!」
僕の手元にまとまったお金が入ってきていた。
収益化に少しの時間がかかってしまったこともあって、自分が最も注目されていたタイミングから一足遅れてからのタイミングからお金が入ってくるような形となってしまっていた。
だが、それでも五百万という信じられないような大金が僕の元に転がり込んできたのである。
五百万である……これが、たった半月程度の稼ぎであるわけだ。
信じられない。
「こ、これだけあれば一生暮らせるよぉ。ふわぁぁぁぁぁぁ」
生徒会長と共に作った銀行口座に入金された五百万。
それを丸々全部引き下ろして自分の手元に持ってきた僕はそれを掲げながら歓声の声を上げる。
「ふへへ……ぜ、絶対に盗まれることのないよう山の中に隠しておこう」
自分の神社の境内から一歩外れて山の方に入れば良くも悪くも魑魅魍魎が跋扈している魔境である。
神様も悪魔も紙一重。
というより悪魔よりも悪魔しているのが基本的な神様なのである。
そんな神々が八百万いる山の中に人間が入れば発狂するか、どこかの神様に好かれて永遠に飼われるかのいずれかだ。
そんな山の中に金を隠せば誰も奪うことはできないだろう。
幕府再興の必要があった際に動けるように、と徳川から預かるように自分の先祖が頼まれた大量の金なんかは未だに埋蔵されている。
これに合わせて僕の五百万を隠しておけばもうバレることはないだろう。
「何を食べようかなぁー、またハンバーグとかでもあり。いや、その前に生活に使える家電とかも買ってみたいのだよなぁ、三種の神器とか憧れる。板で服を洗わなくていいようになるとか普通に神だよね。あっ、でも家電って電気いるのか、通ってないな、ここ。工事的に……いっそこの神社に電気とかを通すのもありか?」
うわぁ……すげぇ、夢が広がる。
しかも、これは半月だけでの金額、五百万である。これが毎月入ってくるようなことを考えれば……もう、すっごい。めちゃくちゃすごいじゃん!!!
はぁぁ、これはもう僕も金持ちの仲間入りやなぁ。
こんな簡単にうまく行くとは思わなかった。
だが、それでも金は金である。
「くくく、これで僕も極貧生活脱出だぁぁぁぁぁぁああああああああああ!!!」
苦節我が人生。
配信活動の結果、僕はあっさりと極貧生活へと別れを告げるのであった。
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