イキシアとダンジョン配信

 事務所に入ることが決定した僕は生徒会長たちといつ加入発表するかどうか、色々と話し合っていた。

 だが、その話し合いの中で一つの問題が発見された。

 それは、まずそもそもとして僕の配信回数が一回しかなく、自分の配信をどんな層が見てくれているのかもよくわかっていないという致命的な問題だった。

 自分の初回の配信はなんか、もう凄かった。

 再生回数が億越えで、視聴者も実に国際色豊かだった。

 これがそのまま自分のファンになるというわけではないらしく、僕のファンと言える人たちが確立できるように数回配信をしてから加入報告をしようということになったのだ。


「ふふんっ。設定は完璧っ!これで問題なしっ!」


 というわけで、僕は早速配信を行うためにダンジョンの方へとやってきた。

 事務所のサポートで機械音痴の僕でもすぐに配信出来るような状態にカメラの方をしてもらっている。


「うし。カメラはこれで良し……んで、イキシアー」


 僕は一人で喋り切る自信がなくいつものようにイキシアをこの場に召喚する。


「はいニャー!」


 元気に飛び出してきたイキシアは僕へと抱き着きながらその場に現れる。


「今日も配信をしていくよ」


「わかったニャ……ようやく、ダンジョンでの配信ニャね」


「そうだね。ようやく探索者らしい配信だよ。今のところは自己紹介も兼ねた雑談配信しかしていないからね。そろそろ配信しないと」


「そうニャ。そうニャ。もっと配信して、私と一緒にダンジョンへと潜るニャ」


「うん。これからはしっかりと配信頻度を上げていくつもりだよ……ということで早速今日の配信を始めていくね」


「わかったニャ」


 僕は空を飛んで勝手に自分の方についてきてくれるカメラの方へと手を伸ばして配信開始ボタンを一押し。

 これだけで配信してくれるように設定してくれている。


「あー、あー、見ているかな?」


 僕はカメラの前でジャンプしたり、首を傾げたりしながら映っているかどうかの確認の言葉を告げる。


コメント

・見えているよー

・うおっ!?告知も何もなしに配信が始まったっ!

・今日はダンジョンやな

・見えているでぇー

・バッチリ

 

 そんな僕の言葉へと答えるのは視聴者。

 カメラから何もないところに投影されているホログラムでのコメント欄には、見えていると教えてくれる視聴者のコメントが次々と流れていく。


「おぉー、良かった……えっとね。それじゃあ、うぅんっ!」


 僕は咳ばらいを一つ。


「どうも皆さんこんにちわっ!みんなを見守る神主のまおーだよっ!今日も配信よろしくね?」


「そのお供のイキシアニャー、みんなは全員主様にお賽銭を投げつけるのだニャー」


 そのあとに僕はイキシアと二人で決めた自分たちの挨拶を告げる。


コメント

・こんにちわーっ!

・おっ、挨拶がちゃんとしている

・賽銭しようにも収益化通っていないから出来ねぇー

・こんにちわーっ!

・こんにちわ

 

 そして、僕の挨拶に答えるようにコメント欄に流れていくコメントも増えていくのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る