交流
生徒会長の申し出で配信事務所へと入ることになった僕は今。
事務所の先輩である垣根と琴葉の二人とすぐに打ち解けて仲良くなっていた。
「あっ、美味しい。このクッキー」
「おっ?わかるか?やっぱりこのクッキーってば美味しいわよね。やっぱりクッキーこそが至高よね」
「えぇー、クッキーとかセンス悪いよぉ。クラッカーだってぇ!」
「……きのこ、たけのこ論争は聞いたことあるけど、クッキークラッカー論争は初めて聞いたなぁ。どっちも美味しいでしょ」
「何を言っているの?たけのこの里はクッキーで美味しいに決まっているじゃない」
「はぁ?きのこの山の方がクラッカーで美味しいじゃない。価値観バグっているんじゃないの?たけのこの里派とかショタの教育に悪いからさっさと消えてくれない?」
「教育に悪いのは明らかにお前の方だろ、いい加減未成年に手を出そうとするの辞めなさいよ」
「……」
あっ、琴葉が無残にも敗北した。
まぁ、ショタコンという犯罪者にもなり得る性癖は不味いよね。二次元の世界に留まっているのならともかく。
三次元まで昂奮して性欲を口に出してしまうのはどう考えても不味いと思う。
「垣根の方が口喧嘩に勝ったから美味しくクッキーの方を食べることにしよう」
「良いのよ、それで。賢い選択を下したわ。偉い子にはクッキー追加のご褒美よ」
「わーいっ!」
「くぅぅぅぅ、話の本筋と関係ないところで攻めてくるのは卑怯よ、卑怯っ!」
「ふふんっ」
琴葉の負け惜しみと取れるような言葉に垣根は自身満々な表情で得意げに答える。
「……ちょっと貴方たち二人は仲良くなるの速すぎないか?」
僕たち三人がソファでやいのやいの言っているような中で、その様子をキッチンの方から眺めていた生徒会長が半ば呆れたような声色で告げる。
「別にこれくらい普通でしょうよ。貴方が仲良くなるの遅いのよ」
「そぉーだよ。意味わからないところで緊張を発揮するのだから。何というか壁があるせいで真の意味で友達になりきれないのよねぇ」
「ぐぬぬっ!」
二人の言葉に生徒会長は呻く……初手であれだけ下ネタを言っていた御仁が実は緊張しやくて壁があるとか何の冗談?
「……私は寛大だからな。この程度では起こらん。ほれ、それじゃちょっと早めに夕食とするぞ。これからの方針についても考えていくからな。加入配信をどう進めるのかなどをしっかりと考えてやっていきたいからな」
「わーい、ご飯だぁー」
「おっ、今日の夕食は何だろうか」
「ショタとご飯ー」
「……締まらない」
僕たち三人は生徒会長の言葉に頷き、ソファの方から立ち上がるのだった。
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