先輩
「ぐぇぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええええええええええええええええええええ」
何故か、女性から力強く抱きしめられることになった僕はその相手の腕の中で悲鳴を上げる。
「な、何をしているのっ!?」
「ふげっ!?」
そんな中、焦ったような声を上げた生徒会長が僕を引っ張ってこの身を解放してくれる。
「もぉー、ショタを堪能していたのにぃ」
「しなくていいわっ!?この子は結構な重要人物であると前もって話していたし、ここに来る前も連絡をっ!」
「ふぇぇぇぇぇぇ」
「ふぇぇぇぇぇぇ、じゃないぞっ!く、クソぉ。なんでこいつはショタを前にしただけこんな変貌するのだ」
「高校生でしょ?ならセーフじゃない?」
「そんなわけあるかっ!?お前がいつも狙っている小学生よりはまだマシって程度の話だっ!決して許されないことには変わらないっ!」
……いつも、小学生を狙っている女性が今回狙ったのが僕……あれ?どうしてだろうか?心が泣いているよぉ。
「これの凶行はいつものこととして、貴方も大概だと思うわよ?その重要人物である彼を現在、自分の手のうちでぶら下げているのだもの。それで丁寧に扱っているのはちょっと無理があると思うわ」
そんな中で、今でも一人。
ソファに腰を下ろしている人が僕を指差しながら口を開く。
「あぁぁぁぁぁっ!?」
それを受け、生徒会長が悲鳴を上げ始める。
「あっ、別に気にしないから大丈夫だよ?」
僕はするりと生徒会長の腕から抜け出し、そのまま地面に手と足をつけるような態勢になってそのままストレッチを開始する。
捕まっていたことで痛んでいた体をほぐしていく。
「……そ、そうか?」
「そうそう。別に僕をVIP扱いする必要はないからね?」
自分は所詮、ただの神主である。
特別扱いを受けるような人間ではない。
「と、いうことで」
ストレッチを終わらせた僕は立ち上がって先輩としてこの場にいた二人の女性へと向き直る。
「まずは自己紹介から。僕は赤城蓮夜。ここにいる生徒会長から誘われてこの事務所の方に身を寄せることになりました。今後ともよろしくお願いします」
「えぇ、よろしく」
「おぉー!ショタの挨拶っ!」
「……」
自己紹介に対して、ショタのと声を上げるのはどうなのだろうか?
「それで私は天野垣根よ。配信者としてはあまり自信がないけど、探索者としてはかなり歴が長いから。何かあればすぐに相談して頂戴。心よく乗るわ」
そんなことを考えている僕に対して、まずはまともっぽそうな黒髪の女性こと天野さんが自分の自己紹介を告げる。
「それじゃあ、次は私だね。私は鈴木琴葉。私の方は配信者の方の歴も長いからそっちの方でも存分に頼ってくれていいわぁ。ショタからの頼みとなれば全力で聞いてしまうのだからぁ!」
そして、ヤバそうなピンク髪は意気揚々とした態度で僕へと自己紹介の言葉を告げる……この人には相談しないようにしておこう。
「お二人ともご丁寧に自己紹介ありがとうございます。若輩者としてこれから僕も頑張りますね」
若干鈴木さんへの抵抗感を持つようになった僕は、それでも二人へと深々と頭を下げるのであった。
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