事務所
午後の授業も普通にある中、僕は昼休みの後に生徒会長と共に高校を抜け出して彼女の事務所の方へとやってきていた。
「……おぉ、すげぇ」
配信者用の事務所として自分が連れてこれたのはありえないくらい高いビルであった……これが、タワマン???
「私が所有しているのはここの五階のフロアである」
「……なるほど」
生徒会長の言葉に頷いた僕は彼女に続いてビルの中へと入り、五階に向かっていく。
「ここだ」
そして、五階に来るなり僕を出迎えたのは一つの巨大なロゴ。
「ここが私が運営している配信事務所であるラブスタだ」
「……ラブスタ」
ラブなスタジオ?名前ダサくない?
「現在所属している配信主は私を三人」
そんなことを密かに考える僕は続きの生徒会長の言葉に耳を傾ける。
「配信者の数は少ないが、裏方の数は多く、設備も行き届いている。私が元々大富豪の娘だからな。そこからお金を引っ張ってきたがために施設だけならすべての事務所よりも高品質だろう……それで、どんどんこの事務所内部を紹介していこう」
会議室、休憩室、更衣室、ゲーム配信部屋、生放送部屋、スタジオ、3D用の部屋、カラオケ施設……なんでそんなものがあるのか、ここは何に使うのか。
僕がイマイチよくわかっていないもの
「それでこの部屋が私たち配信者の控室のようなところであり、メンバーが好きなように過ごすところだ。キッチンや洗面所、風呂。普通に生活出来るようにもなっているな」
「……なるほど」
何故、事務所に家を……?というか広くない?このビルってば。びっくりした。
「それじゃあ、入るぞ」
そんな僕を考えている僕を横目に生徒会長は扉を開けて控室らしい場所に入っていく。
「……おぉ」
そんな扉の先。
そこに広がっていたのはかなり綺麗な一室だった。テレビにソファに机。
前もって言っていた通りのキッチンに恐らくは洗面所と風呂に通じているであろう扉が見える。
「あの二人だ」
そして、そんな部屋のソファの上には二人の女性が座っていた。
「あっ、どうも。初めまして」
「……彼が」
「……っ」
僕が挨拶の為に頭を下げると共にソファの上に座っていた女性二人の視線が一気に向けられる。
「……ふぅん」
まず、一人目が随分と背が高そうな女性。
座高も高いし、ソファから伸びている……これは、推定だけど身長180cmくらいはありそう。な、なんという戦闘力。
そんな女性の見た目としては肩の長さに揃えられた黒髪に、一つの丸メガネの下に隠された綺麗な黒い瞳。
耳にはイヤリングもつけられており、全体的にかなりキツめな大人びた女性という印象を感じさせてくれる。
「……」
それに対して、もう一人の女性。
その人はどちらかというとおっとりとしたお姉さんという井出立ち。
黒髪黒目とオーソドックスだった背の高い人と比べて、腰にまで伸びる長いピンク色の髪に、垂れ目なこれまたピンクの瞳という随分と派手な色の女性。
ゆったりとした服装の下には豊満な肉体が隠されており、背たけとしては普通くらいであろう……まぁ、それでも僕よりは高いが。
そんな風に二人の様子を眺めていた僕に対して。
「ショタだぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああっ!!!」
これまで口を閉ざし続けていたピンクの女性が突然叫び声を上げると共にこちらへと猛烈な速度で迫ってくる。
「しょ、たっ!」
そして、そのまま僕へと勢いよく抱き着いてくる。
「んなぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああああああああああああっ!!!」
全身を覆われ、自分の顔を彼女の胸の方へと押し付けられる形になった僕はびっくりしながら大きな悲鳴を上げるのだった。
あとがき
皆さん、覚えていますか?最初の掲示板回。
忘れたよって人は見返してほしいかもしれない。
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