会話
何処かゾッとするようなものを与えてくる神薙さんの答え。
それを目のあたりにしてちょっと引いてしまった僕に和人と秋斗は、そのまま何とも言えない感情を抱きながらその日の学校生活を送ることなった。
放課後になればもう逃げるように解散である。
「……ちょっと壊れちゃったのかなぁ?」
神社の方に帰ってきた僕は一人、あんなことに神薙さんがなってしまった理由について考える。
「うーん?」
メンタルが回復しているように見えていたのは錯覚で、何処か歪になってしまったのかもしれない。
あれかな?メンタルがヤバくなっていた時に接していたのが僕だけだったのが悪かったのかな?
クラスのみんなでお見舞いに行くべきだったのかもしれない……まぁ、みんなを連れていけるほどの統率力など僕にはないので今、考えてもどうしようもないことではあるけど。
「ちゃんと優しく接待してあげよう」
神薙さんも色々と大変なのであろう。
改めて、僕は神薙さんの扱いを決定する。
「さて、それはそれとして気を直して今日もダンジョンの方に行こうかな」
一旦、神薙さんのことを棚上げした僕は日夜、発展を続けているダンジョンの方にやってくる。
「きゅーいっ!」
自分がやってくると共に、誰もよりもまず先に駆け寄ってきてくれるイキシアがやってくる。
僕はそんなイキシアのことを撫でながら、ディスプレイを操作していく。
「ふんふんふーん、おっ?レベルアップ出来るぅー」
ディスプレイを操作していた僕はいつの間にかダンジョンのレベルを上げられるようになっていたことに気付く。
恐らくは遠くの方で建築をお願いしていた次のレベルアップに必要な城壁を魔物たちが完成させてくれたのだろう。
「それじゃあ、ゴー」
僕はもう慣れた手付きでダンジョンレベルを上昇させる。
「今回のレベルアップ報酬は何だろうなぁ」
そして、そのまま今回のレベルアップ報酬を確認していく。
前回は何であったか?確か、ただ建築のレシピが追加されただけだっけ?
僕は前回のことも合わせて思い出しながらレベルアップ報酬を確認して行く。
「……翻訳?」
今回、追加された機能は翻訳という能力であった。
何だ?もしかして、これから僕は英語を勉強しなくても良くなかったのかな?実は最近、こちらのダンジョンだったり、神薙さんにかまけていたりでちょっとだけ普段よりも勉強出来ていないから、翻訳があれば便利だけど。
「……もしかしてだけど、ねぇ?イキシアさ。鳴き声を上げてみてくれない?」
僕は一つの可能性に思い至って、イキシアの方に向き直って声をかける。
「きゅ、きゅーいっ?」
だが、返ってきたものは僕の求めていたものではなかった。
「でも、念のため。鳴き声じゃなくて、言葉で話してくれない?」
僕は一応、と思って更にイキシアの方へと命令を加える。
「な、何ですか、ニャ……ッ!?」
そんな僕の言葉に対して、返ってきたのは僕が期待していたものだった。
「……ッ!?」
間違いないイキシアの口から出てきたのは日本語であった。
と、とうとう……!魔物と本格的にコミュニケーションを取れるツールが追加されたっ!なんたる革命だっ!
「主様」
「……ッ!?」
僕が内心でそんなことを思っている中、隣にいたイキシアが急に跪いて僕へと言葉を告げたことに驚きの声を漏らす。
「長らく、お話出来る日を心よりお待ちしておりましたニャ。我がマスター。改めてとはなりますが、私の名前はイキシアですニャ。どうか、今後ともよろしくお願いいたしますニャ」
「……ッ!?!?」
実に華麗にして美麗。
丁寧な口調と美しい声色と共に告げられるイキシアの言葉に、彼女の内心を読心で見たことのある僕は困惑の声を上げる。
ど、どうなっているっ!?あの日に見たイキシアの心のうちは何だったのか!?
僕は困惑しながらこれまで封印していた読心を解放。イキシアの心の内を看破していく。
『(まさか、こうして主様と会話が出来るような日が来たなんて嬉しいニャ。それにしても、しっかりと主様に出来る女であることをアピールできるかニャ?(`・ω・´)キリッ。やはり、すべての魔物たちの頂点に立つ者として、まずはここで一発カッコいい姿を主様に見せておかなきゃなのニャー✧ド(*,,ÒㅅÓ,,)ャ✧)』
……。
…………。
『(……それにしても、そうかニャ。これで主様とも心を交わすことができるようになったわけニャか(´。・ω・。`)うるうる。この日をどれだけ待ち望んでいたかニャ……ふふ、ふへっ、これはつまり、新たなプレイも出来るってことかニャ?(*゚∀゚)=3ハフンハフン。こ、言葉攻めとかずっと前から興味があったんだニャ……( ≧ ≦ )ღ。な、なんでも求め放題ニャ(*゚∀゚*)ムッハー。まずは私を(検閲済み)と罵ってもらってニャ。それから(検閲済み)(検閲済み)(検閲済み)……ふへへ(^p^))』
「あぁ、改めてよろしくね?イキシア」
「……ッ!その言葉が何よりもの喜びとなりますニャ」
『(ほ、ほ、ほめ殺しが来たニャッ!お褒めの言葉ニャっ!もう股がビショビショニャッ!(*´д`*)ハァハァ。今日のプレイは決まったニャ(*゚∀゚)=3ハフンハフン)』
良かった。
ちゃんとイキシアはイキシアだった。
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