一方
赤城蓮夜がイキシアと共に、ダンジョンパンデミックの対処をしている中で。
「……どういうことなの?」
久しぶりのダンジョン配信をしていた神薙玲香は、思わぬ形での放送事故を迎えていた。
「なんで……なんで?」
放送事故。
それは突然、玲香が誰からかの襲撃を受けたということである。
急に攻撃を受けて地面に倒れ伏して血を流すこととなった玲衣ただただ動揺の声を上げる。
「……貴方が」
玲香は地面へと攻撃を仕掛けてきた、今まさ己の前に立っている一人の男に向けて疑問の声を上げる。
「ふぅーむ」
彼女の前に立っている人物。
その人物とは、ここ最近の炎上騒動においても強い関係のある男性ダンジョンライバー、劉淵であった。
彼は今、丸腰の状態で玲香の前に立っているのである。
つい先ほど、玲香を腹に叩きつけた劉淵の拳は未だに魔力の残滓を残している。
「なんで、貴方がこんなことをっ!?」
意味が分からなかった。
活動を再開していた自分とは違って、未だに活動を停止しているはずの劉淵が再び自分の前に立っていることも。
更に悪意を持って自分に攻撃を加えてきたことにも。
その何もかもがわからないような状況である。
「君は深く知る必要はないよ」
それに対して、劉淵は不適な笑みを浮かべながら言葉を返す。
「……、誰、なの?」
そんな劉淵の様子は玲香の知る彼の姿とは大きく違っていた。
「俺は間違いなく劉淵だとも。ただ、これまで皮を被っていただけだよ。本来の俺はこうさ」
「ど、どういうことなの……?」
不敵な様子の劉淵を前にして、玲香はただただ困惑することしか出来なかった。
コメント
・はっ?なんであの劉淵が
・てこれは、劉淵が圧倒的な黒だったってこと?
・はぁっ!?人への攻撃行為は犯罪だろっ!
・ど、どうなっているの!?
・ほ、本気で意味わからない…
・マジで、ナニコレ?
リアルタイムでこの状況を見ている玲香のリスナーも動揺と困惑の嵐である。
「まぁ、一先ずは苦しんでもらおうか」
そんな玲香もリスナーもさておいて、劉淵は一瞬で地面へと倒れ伏す彼女との距離を詰めて強烈な蹴りを繰り出す。
「きゃっ!?」
初撃と同様、何の反応も出来ずに攻撃をくらった玲香は更に吹き飛ばされて地面を転がっていく。
「……このっ!」
地面を転がりながらではあるものの、何とか態勢を立て直した玲香は自分の手の中にあった剣を再び強く握り直して構える。
「無駄だ」
だが、そんな抵抗に何の意味もなかった。
「えっ!?」
玲香では反応できないほどの速度でもって彼女の背後を取った劉淵はそのままその背中を剣で大きく斬り裂く。
「……がふっ!?い、つの……間にぃ!」
玲香の手に握られていたはずの剣は、いつの間にか劉淵へと奪われおり、彼女はそれで斬りかかられた形である。
「存外弱いな」
「……くっ」
背中を大きく斬り裂かれ、燃えるような熱さと痛みを感じ、自分の大切なものが流れ落ちていくような感覚を覚える玲香は、それでも生への強い執着を持っていた。
「こ、こんなところでぇ!」
自分が圧倒的に不利な状況。
そんな中で玲香が取ったのは逃亡であった。
彼女は自身が持っていた閃光弾を破裂させると共に全力で足を動かしていく。
「ふんっ」
そんな玲香の様子を静かに眺める劉淵は懐から一つの拳銃を取り出して発泡。
「きゃっ!?」
閃光弾が強い光を放つ中でも確実に玲香の足を撃ち抜いてみせる。
「う、うぅ……」
「悪く思うなよ、女」
地べたへと転がり、それでも逃げようと惨めに前へと這いずり進もうとする玲香に対して、劉淵はその手にある剣を掲げる。
それ共に、彼の身体から溢れ出した魔力が剣へと溜められていた。
「あばよっ!」
剣が、振り下ろされる。
「───ぁ」
それと共に玲香へと向かってくるのは一筋の魔力の閃光。
彼女の体を蒸発させてしまうにはあまりにも十分すぎるほどのエネルギーを持った波動であった。
「
魔力の波動が玲香の体を蒸発させる───
それよりも前に一つの言葉が響き、そして、すべての攻撃を防ぎきる天の盾が展開される。
「……れん、やっ?」
地面へと倒れ伏していた彼女の前に立ったのは一人の少年、蓮夜であった。
「んっ!?」
玲香を助けるため、この場へと舞い降りた蓮夜はそのまま血だらけで倒れる彼女へと口づけを交わすのだった。
コメント
・着たァァァァァァァァアアアアアアアアアアア!!!
・ここで来るのが主人公っ!
・新技出てこんかった?何、あの盾
・キースっ!キースっ!キースっ!
・もうレイナってば雌の顔しているよォ!助けに来た蓮夜君を見ているときも!キスされているときも!
・青春だぁぁぁぁぁああああああああ!
あとがき
愛され作家NO.1決定戦特別企画
期間中毎日特別ショートストーリ公開、六日目!
本日は『蓮夜くんのフルコース料理』です!
内容としては、幼少期における蓮夜の食生活、常識と金銭感覚を崩壊させるのにはあまりにも十分すぎる壮絶な食生活を描いたようなものと、なっています。
興味があればぜひ、ギフトを頂けると嬉しいです。
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