本題
「ダンジョンパンデミック、について。蓮夜様はどれだけご存知でしょうか?」
本題に入る。
そう告げる高畑近衛さんが最初に口にしたのはダンジョンパンデミックについてだった。
「が、概略は……確か、世界中のダンジョンから魔物が地上へとあふれ出した事件のことですよね?未だにアフリカや中東では掃討も終わっていない」
ダンジョンパンデミック。
最期に起きたのは僕がまだ三歳くらいの話で、概略くらいしかわからないけども。
「えぇ。その通りです。我が国においては、たまたまライトノベルやアニメなどに多く触れていたオタクたちが存在し、彼らがノリノリで戦闘を行ったがために鎮圧された一件ですが、世界においてはあまりにも甚大な被害をもたらしました」
……オタクが国を救ったって冷静に考えてみればすごくない?つか、どうやって?昔のオタクと言えば引きこもりのイメージがあるけど。
まぁ、色々あったのかな。
「オタクたちにはあまり頭が今でも上がりませんよ。そもそも、我ら政府の対応が後手に回る中でも勝手に物事を進めていてくれていたのが彼らですからね。今でも彼らはエルフや獣人を求めてダンジョンの最前線に立ってくれていますから。本当に助かっています」
なるほど。性欲か。
すっごく納得した。
「すみません、少々話が脱線しましたね。それで、その肝心のダンジョンパンデミックですが、今はもう起きていないことは知っておられますか?その理由も含めて」
「えぇ、そうですね。確かダンジョンパンデミックが起きる理由は内部にいる魔物の駆除が遅れて増えすぎてしまったことによって起きるんですよね。だから、既に探索者制度が確立し、多くの魔物を駆除出来る今であれば脅威にならないという」
「その情報、実は全くの嘘であります」
「えっ?なんて?」
僕は高畑近衛さんの言葉に対して、率直な驚愕の言葉を漏らす……いや、えっ?今でもダンジョンパンデミックは起きているの?ガチで?
全然初耳なんだけど。
「そんなものは真っ赤な嘘、今でも定期的にダンジョンパンデミックが起こっております。アフリカや中東を始めとする発展途上国群に、アメリカ、ロシア、中国などの大国でも一部の地方では魔物を掃討出来ていないのは、単純に今も数が増えていて駆除が追いついていないという事実があるのです」
「な、なるほど……えっ?な、なんでわざわざそんな嘘を?」
「今でも我が国はインドネシアやタイなど、アジアの発展途上国の安全と民主主義の保全のために多くの探索者を各国に派兵しております……もしも、こんな状態で」
日本国内を守るために探索者の派兵を辞めろという意見が出てくるのは必須というわけか。
「……なるほど、確かに。でも、他国への支援はそう簡単に打ち切れるものではないですものね」
「えぇ!そうなのです!それに、ダンジョンパンデミックについて隠そうというのは世界的な流れでして……アメリカも庶民への危機感を煽るに警戒心を抱いておりますし、ダンジョンが齎す力を一部の階層が独占し、事実上の貴族制を引いている欧州も庶民に戦力を拡充する必要性を訴えさせる」
「なるほど、秘匿されている理由については理解出来ました」
「ありがとうございます」
日本国内の話に国際上の理由まで出てくるのであれば仕方ないよな。
「それで?今も起きているとは言いますけど、実際にはどんな感じなんですか?」
「ダンジョンパンデミックの原理といたしましては、地上に近いダンジョンの上層ではなく下層。そこにおいて急な魔物の大量発生が起こることによって開始致します。一つの強力な魔物を旗印に、様々な強さの魔物が地上に向けて進軍するのです。我らの対処としては簡単で、地上に出る前。ダンジョン内でその魔物を殲滅するという作戦を取っているのです」
「あぁ……なるほど。それなら地上への被害を出さずに済みますものね」
「そういうことです」
僕の言葉に高畑近衛さんが力強く頷く。
「……と、なると話がようやく見えてきました。つまり自分の力を貸してほしいってことですか?魔物という数を持っている自分に」
「恥ずかしながら、そういうことであります」
僕の言葉に対して、高畑近衛さんは愁傷な態度で頷くのだった。
あとがき
愛され作家NO.1決定戦特別企画
期間中毎日特別ショートストーリ公開、五日目!
本日は『男の人外娘と男の巫女娘のラブラブ交配』です!
内容としては、ようやくダンジョンに誕生した男の魔物であれど、その交尾対象はいつも通り蓮夜くんで最期に妊娠してお腹を大きくするのは……と、なっています。
興味があればぜひ、ギフトを頂けると嬉しいです。
本小説はLGBT、性の多様性を尊重する小説でございます。
ありとあらゆる非難はすべて、性の多様性を否定することになるのでお控えいただけると幸いです。
ご安心ください、運営様。R18ではありませんので。
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