誘い
玲香がずっと放置してしまっていた自分の服を長い時間をかけて何とか片付け、蓮夜に言われた通りにちゃんとご飯食べて、お風呂にも入ってスキンケアをしていればもうすでに時刻は夜。
しっかりと玲香は布団に入って一晩をぐっすりと眠って次の日を迎えた。
「……今日は、何をしようかな」
服を片付けた次の日。
玲香は何をするべきか、早速迷うことになっていた。
「ん?」
そんな時、玲香の迷いを打ち払うかのように彼女の家のチャイムが鳴らされる。
「……誰、かしら?」
玲香は少しばかり警戒しながら玄関の方に向かっていく。
「はーい」
そして、玲香は出来るだけいつも通りの口調になるよう注意を払いながら口を開いて玄関の扉を開ける
「来ちゃった」
玲香の開けた玄関の先にいた人物。
「えっ?」
それは完璧な女装に身を包んだ蓮夜であった。
「……かわ、かわっ……えっ!?」
肩の高さに揃えられた黒髪に丸メガネの先で淡く輝いているように見える蒼い瞳。
完全なる美少女にしか見えない蓮夜は上半身パーカーに下はミニスカートという恰好でそこに立っている。
「とりあえず中に入れてくれる?」
「えっ、あっ……うん、どうぞ!」
玲香は突然家に訪れてきた蓮夜に動揺しながらも彼を家の中へと上げるのだった。
■■■■■
「ちゃんと服も片付けているみたいで良かった」
神薙さんに家へと上げてもらった僕は彼女の家の中を確認し、しっかりと片付いたままであることに一先ず納得して頷く。
「昨日は何食べたの?」
そして、次に僕は神薙さんがちゃんとご飯を食べたかどうかも合わせて聞く。
「えっ?あぁ……うん。冷蔵庫の中に入っていたもので簡単に。あの、冷蔵庫に入っていた食材って」
「あぁ、うん。ごめん。勝手に床へと落ちていた財布を使って……」
家の中を探した感じ、食料になるものは一切なく、インスタント麺なども含めて完全に切らしてしまっているような状態だった。
そこで僕は冷蔵庫の中に最低限、一日は過ごせるような食料は入れておいた。
神薙さんが買いにいけるメンタルではない可能性も考慮しなくちゃいけなかったからね。
使ってお金はもちろん僕のではなく、掃除中に見つけた神薙さんのお財布である。
買えるだけのお金は残念ながらこれっぽちも持っていない。
「あっ!そうなの。じゃあ、お金は返さなくても大丈夫そうね!」
「うん」
ごめんね、人にお金を貸せるほどお金なくて。
「そ、それで……」
僕がちょっとだけ萎えている中、神薙さんが再び口を開く。
「ど、どうしたの?その恰好」
「ん?あぁ、これは変装だよ」
玲香の疑問に対して、僕は自分がつけている伊達メガネをくいっと上げながら自信満々な態度で告げる。
僕は今、自分でも完璧と思えるほどの女装をしている。
ウィッグもメイクも完璧で、服装だって巫女服じゃない。
今僕が着ている女物の服は神薙さんがまだ炎上する前の頃に、彼女と共に買ったものだ。
「男関連で色々と炎上していたのに、また別の男を玲香が連れ込んでいる!ってなったら問題でしょ?だから、しっかりと女装してきた。これを見て僕を男の子であると思う人は流石にいないと思うんだよね」
「いや……確かにそうだと思うけど。に、似合っているわ」
「……それは、あまり嬉しいわけではないけど」
僕は神薙さんの言葉に何とも複雑な表情を浮かべる。
男の子で女装が似合うねは褒め言葉でも何でもないと思う。
「……そ、それで?私に何か用かな?」
「いや、普通に配信とかは抜きでダンジョンに潜りにいかない?って思ってさ」
こちらに対して、疑問符を浮かべてる神薙さんに対して、僕は笑顔でダンジョンに潜りに行こうと提案するのだった。
あとがき
愛され作家NO.1決定戦特別企画
期間中毎日特別ショートストーリ公開、二日目!
本日は『男の娘と美少女の買い物デート』です!
内容としては、蓮夜と玲香が女物の服を追い求めて買い物していく様子が描かれています!
興味があればぜひ、ギフトを頂けると嬉しいです。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます