武器庫
あまりにも突然生えてきたダンジョン。
僕はそのダンジョンへと通い詰めて毎日のようにリアル感を溢れるゲームを楽しんでいた。
生まれてこの方、貧乏が祟ってまともにゲームなんてしたことがなく、ただ友達の見ているかやらせてもらうだけだった僕が自分だけのゲームに熱中できるのだ。
これでハマらないわけがない。
「これは便利だな」
そんなこんなで進めていた僕はダンジョンレベルを十へと上げたことで手にした自分の特異能力に感嘆の言葉を漏らす。
「武器庫、シンプルだけど便利な能力だ」
今回、レベルアップした報酬として獲得出来たのは武器庫という力であった。
効果としては自分の影から武器を取り出せるというもの……自分の影が伸びて、そこから武器が伸びてくるというこの力は非常に厨二心へと惹かれてしまう。
ちなみに、影から伸びてくる武器はこのダンジョンで作ったものである。
ダンジョンレベルが5になった段階で武器製造の欄が追加されたのだ、ここで作ったものが武器庫に溜められ、それが僕の影に繋がった感じとなる。
この武器も様々な建築や種子と同じでダンジョンレベルが上がると共に新しいものが解放される。
ダンジョンが成長すればするほど、僕は強くなっていくだろう。
「まぁ、別に何かと戦闘するわけでもないから本当にただの死にスキルだけど」
自分がやっているのは物騒な戦闘ゲームではなく、エチエチに満たされるR18の魔物育成ダンジョンゲームである。
戦うつもりは一切ないので、かなりの死に能力となりそうであるが。
「……でも、これが生えてきたということはいずれ、戦闘はあるということだろうか。ちゃんと、備えておかないとなぁ」
やらずに後悔するよりもやって後悔するほうが断然良い。
僕は武器を使っての修練を行うことを決意する。
「それはそれとしてまずはダンジョンのレベル上げだよね」
武器庫の能力を確認し終わった。
ならば次にやることはダンジョンのレベル上げだ、武器の連中はレベル上げの隙間時間にやっていけばいいだろう。
結局、戦力を上げるのに一番早いのはダンジョンのレベルを上げることだろうし。
「待つ、待つ?待つ?」
能力の確認を終えたと判断したイキシアが僕に対して、疑問の声を上げる。
ちなみに、僕の魔物たちが告げる言葉は名前、交尾、好き、待つの四つだけ。後は泣き声だけである。
まぁ、それでも一応こちらの声は完全に伝わっているようだし、彼らの反応としても身振り手振りである程度わかるので別に困っていないけど。
「もう待たなくていいよ」
僕は自分の武器庫の性能確認をしている間、待っていてくれたイキシアに対して声を上げる。
ダンジョンのレベルを上げるときは、何かあってもいいように毎回イキシアに同席してもらっているのだ。
「交尾!」
そんな僕の言葉に対してイキシアは元気よく一言。
「それは後ね。まだ待って」
「……待つ」
「まずはダンジョンレベルを上げていくから。まだまだあげていきたい。まだ卵孵化装置の方も開いていないし」
卵孵化装置の設置数はダンジョンレベルによって決められている。
ダンジョンレベルが10になった今の設置可能数は全部で五個、その五個は今のところ埋まっているので
「既に人手も多いし、ダンジョンレベルを上げるのを重要視していくよ」
イキシアとシンティーラの他にもかなり多くの魔物が既にこの場に誕生している。
頭から少しだけ角が生えていたり、第三第四の目に見える模様があるだけでほとんど人間そのものな上半身に、かなりデフォルメされて虫としての気持ち悪さがなくなった蜘蛛の下半身を持つアラクネのスノウ。
若干のクトルゥフ感を感じる五メートルを超えるおっぱいの大きな巨人娘であるアネモス。
何か複雑な身体をしていてかっこよい全身が真っ黒で目だけが白い謎の生物であるクロム……などなど、かなりの数とバリエーション。
非常に個性豊かなハーレムが形成されている。
「……」
ちなみにこの子たちは全員が近親相姦によって……いや、彼らは人じゃないのだ。近親相姦で増やしていくのが当然である生物なのだ。
アダムとイブに僕とイキシアがなっているだけ。現実に立ち返るのは辞めよう。
R18の魔物育成ダンジョンゲームは楽しい、この事実だけで良いではありませんか。
「交尾ぃ……」
「それは後でね。別に僕も嫌じゃないから」
僕と魔物との交尾でも、子供が出来るか出来ないかは賭けだ。
一発で当たることは珍しく、何回もやる必要があるし、交尾そのものを否定するつもりはない。
ただ、まずはダンジョンのレベル上げを優先してやりたいだけである。
「きゅーいっ!」
僕の言葉を聞いて、嬉しそうにイキシアが鳴き声を上げる。
「それじゃあ、イキシアも作業再開をお願いね……イキシアには農地の建築をお願いしようかな」
そんなイキシアを見てほっこりつつ、僕はディスプレイを操作して建築を進めていくのだった。
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