第18回「新作」
A「新作を有難がる風潮、なんなの?」
B「急にどうした」
A「人はやたらと書き下しだったり新ネタだったりを好む傾向にある」
B「良いじゃん。人生で初めて出会う作品になるんだから、そりゃ楽しみにもなるでしょ」
A「・・・保証がどこにもない」
B「保証?なんの話だ?」
A「面白さの保証がどこにもないんだ!」
B「これまでの作品を通じて培われて来た保証があるでしょう」
A「言い切れるか?俺には言い切れない。新作に裏切られる日が来るかもしれない」
B「・・・確かに言い切れない。でも日本人はあたらしもの好きだから、一旦新しいっていうことにしておけばそれだけで十分に価値が出るんだ」
A「その価値ですら暴落する恐れがある。無駄に振り切った好感度バロメーターが作品の鑑賞後に急転直下の大下降をするかもしれない」
B「急転直下は物事が解決する時にしか使わないけどな」
A「これまで培われて来た作者への信用が地に落ちる可能性があるからには見る側としても覚悟しなければいけない」
B「気楽に見れば良いじゃん。面白ければそれで良いし、刺さらなければ今回は違ったなで良いじゃんか」
A「作品を提供する側からしてみ?俺はそんなに気楽には構えてられない。いっそのこと「新作」という看板を外してこれまでやってきたネタです~みたいな空気でみんなに披露したいわ」
B「実際の所、新ネタと言わなければバレないことの方が多いしな」
A「・・・そりゃ俺たちのファンが少ないからだろう。ファンの母数が少なければネタの履修度合についても必然的に絶対数が小さくなる」
B「そこは増やして行こう。というか絶対に増やすんだ。ごひいきさんを作らないとやっていけない世界だからな」
A「だからこそ俺はどんなネタについても初出しですなんて言いたくないし、なんならお墨付きの面白いネタでっせ的な感じで世に出したい」
B「確かに。新人の医者よりもベテランの医者の方がなんとなく安心できるもんな」
A「そうなんだよ。新しいものって実はそんなに価値がないんだ。古いものを大切にしていこう」
B「ところで今度そこの角にコンビニが出来てオープンセールをやるみたいだよ」
A「行く行くー!」
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