第15回「逆DX」

A「DXって知ってる?」

B「デラックスパフェお待たせしました」

A「わ~!生クリームにバナナにイチゴにポッキーにおまけにアイスまで載ってる~!って違うよ。そのデラックスのDXじゃなくて、デジタルトランスフォーメーションのDXだよ」

B「なんだよ、その難しい横文字は」

A「意味はわりかし単純で、新しい技術が人の行動を変えるっていうやつだよ」

B「なんか難しそうだな」

A「例えばタクシーを呼ぶときなんかはこれまで電話でタクシー会社に電話して順番に受付を取ってもらって~ってやってたけど最近はアプリで呼べるよな」

B「ボタンひとつで空いてる運ちゃんを呼べるよな、確かに便利になった」

A「住まい探しの時なんかもWEBカメラでその場に行かずとも内覧ができたりするようにもなった」

B「内覧って楽しいけど切羽詰まってる時なんかは意外とだるいもんな。それがモニター越しでできるのは確かに楽だし、数もこなせるようになるな」

A「新しいシステムを利用して何かを楽にできるのをDXって呼ぶんだ」

B「良くわかった」

A「だけどその反面、逆DXって言うのもある」

B「なんだその逆DXってのは」

A「例えばネットの検索補助機能な」

B「便利だよな。ちょっとワードを打ち間違えても正しい結果に打ち換えてくれるやつな」

A「例えば戯曲のサロメを調べたいとする。だけど先頭に出て来るのは壱百満天原サロメというVTuberだ」

B「確かに人気だもんな」

A「あとは緑黄色野菜を調べようとして緑黄色だけで検索すると緑黄色社会というバンドが出て来る」

B「それも人気だな」

A「メジャーな言葉が新しいものに取って代わられるとちょっとモヤっとする」

B「その気持ちはわからなくもないな」

A「レンタサイクルで自転車を借りようとしたけどスマホの電波が途絶えてしまってネットにつながらないが為に目の前の自転車を借りることができないというのも良い例だな」

B「確かに便利だけど便利じゃない。そういうのを便利害って言うんじゃないかな?」

A「俺の言う逆DXと同義だな。便利になったと思いきや、思わぬところで不便になるってやつだな」

B「それでも便利になった世の中に生きているわけだからわがままは言えないよな。もう少しおおらかに構えるべきだよ」

A「そんな時に役立つ発想が不便益っていうやつだ」

B「逆DXや便利害の次は・・・なんだって?」

A「不便益だ。不便の中にこそ利益、良いことがある場合もある。例えば世の中全てをバリアフリーにせず、敢えて不便な部分を残すことで身体的弱者の方々の体を衰えさせない仕組みを作るみたいな感じだな」

B「インドの人が九九を19段まで覚える的な話もそうか。だからこそインド人は数学が得意だっていう話があるくらいだしな」

A「そんな感じだ。意図的に遠回りをすることでしか得られない知見がある。イチローだってそんな感じのことを言っている」

B「イチローが言っているなら説得力があるな」

A「だろ? だからこそ便利な部分と不便な部分を両方受け入れていく必要があるんだ」

B「結局お前はどっち側の考えなんだよ」

A「ChatGPTに聞いてみたけどわからなかった」

B「使い手が悪いと何にも生み出さねぇよ」

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