第2回「タバコ」

A「ヤニカスっているじゃん」

B「突然強い言葉を使うな」

A「弱く見えるぞ的な?」

B「冒頭からそんな変なことを言ってたら一気に信用を失う」

A「表現云々は置いておいて、ヤニカスという人種がいるじゃん」

B「人種差別・・・とは言い難いけどだいぶ攻めた表現だよね」

A「ヤニばっか振りまいて何が楽しいんだろうな」

B「それを言ったら人間だって生きてるだけで二酸化炭素を振りまいて何が楽しんだろうな」

A「ヤニと二酸化炭素は全くの別物だろ。楽しいかどうかはともかくとして、何のために吸うんだろうな」

B「吸うことで落ち着く人もいれば、コミュニケーションのツールに使う人だっているだろうし、人それぞれ楽しみ方があって、その結果としてヤニを振りまいてるんだろうな」

A「落ち着きたかったらおしゃぶりでも吸ってれば良いし、コミュニケーションなんてどうとでも取れるだろうが」

B「大人は難しいんだよ。ヤニの摂取タイムがないとまともに休めなかったり、人と関わりが持てなかったりするんだろうな」

A「簡単だよ。好きな時に休憩すれば良いし、暇を作ってどんどん話しかけて行けば良いんだよ」

B「めっちゃ前向きだし、けがれが一切ないな。でもそれが難しいんだよ。何をするのにも理由がいるんだよ。だけどヤニ吸い吸いタイムだけはそんなしがらみを考えなくて良くなるんだからすごいよな」

A「そう、何にしても単純なんだよ。ヤニのせいにしてるだけで一歩踏み出すか踏み出さないかが大事なんだよ。と言うかお前さっきからヤニカスのこと酷く言い過ぎじゃないか?俺はヤニカス以外の表現を使ってないけどお前はあらゆる表現でヤニカスをいじるんだな」

B「実際ヤニにまみれてないからな」

A「ほら、それだよ!」

B「一回も吸ったことないし」

A「ヤニカスの味方なのか敵なのかどっちなんだ?」

B「お前寄りだよ」

A「汚な!俺の思想ひとつでお前のサイドも変わるけど、俺の答えひとつで両者生き残りにも共倒れにもなるな」

B「コンビなんだから一致してた方が良いだろ。クイズだってなぜかコンビで一枠ガチだからな」

A「あれなんなんだろうな。俳優さんたちは一人一枚回答ボードをもらってるけど、芸人はコンビで一枚だからな。一人一票の権利が欲しいわ」

B「だったらインテリ芸人にでもなってコンビ間格差を作って片方だけ出番をもらうしかないな」

A「お前、そんなに頭良かったっけ?」

B「頭は悪い。学歴もない。だけどクイズに強くなれればワンチャンあるかもしれないぞ」

A「ワンチャンとか言うな、頭が悪く見える。お前、大学生か」

B「俺が大学生に見えるのか。若くて良かった」

A「そこ違うだろ。頭が悪いって所を指摘してるんだろ」

B「大学生になったんだからタバコでも吸い始めないとな」

A「お前、吸ったことないって言ってただろ。嫌いじゃないのか」

B「今こそがデビューのチャンスだ」

A「いい加減にしろ」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る