第2話 事故

 ソラは一歳数ヶ月の時、僕が小学校六年の時に興奮のあまり椅子に頭をぶつけたらしい。

 僕はその当時、学校にいた。

 その衝撃がすさまじく、ソラは30%の確率で生き延び、さらに30%の確率で後遺症が残ると言われたらしい。

 僕が一番そばにいるべき時にいてやれなかった。その後悔が今でも僕を苛む。

 母の意思もあり、生き延びる道を選んだ。

 獣医から進められた安楽死は、考えたくなかった。


 ソラは生き延びた。

 後遺症を残して。


『てんかん』


 興奮状態やストレスといった要因で痙攣を起こし、よだれや身体中の震えが止まらなかった。

 散歩に行き帰ってくると、その影響からかてんかんを起こすこともあった。

 てんかんを起こしている時、ソラがこう言っているように思えた。


『なんで僕なの?』

『なんでこんなに苦しんでいるのに、助けてくれないの?』


 と。


 実際、僕には何もできなかった。

 痙攣で頭を床に打ち付けないように、ベッドに運び見守ることしかできない。

 獣医さんのくれた薬はなんの役にも立たなかった。

 言われたから出している。

 そんな薬だった。

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