第2話 アイスクリームとカレーライス
私の転生した家庭は地元でも名士の家だ。結果、入ってくる情報も上流階級である。
「お嬢様、新橋にアイスクリームショップがオープンしたらしいです」
朝食の最中にメイドの小恵子がチラシを持ってくる。私はチラシを受け取り。食べ終わると塾に登校する事にした。
そうだ!お姉様を誘ってみよう。塾に着くと早速、講師控室に向かう。
「おはようございます、お姉様、今日は新橋のアイスクリームショップにお誘いです」
「新橋か、私は賑やかい場所が苦手なのだよ」
モジモジした様子のお姉様は頬を赤らめている。本当はアイスクリームショップに行きたいのかもしれない。
私は椅子に座る麻紀さんの背後を素早く取り後ろから胸をモミモミする。
「バカな……私の背後を取っただと」
それは自分でも信じられないくらい素早く動けた。
「お姉様はこんなにも女性らしいのにアイスクリームが食べたくないのですか?」
巫女装束から感じる胸は柔らかいモノであった。
「負けだ、負けだ、アイスクリームを一緒に食べよう」
しょげた様子の麻紀さんにだが内心嬉しそうである。
「約束ですよ、次の休日は新橋です」
「わかった、約束しよう」
麻紀さんとの百合デートに出かける事になった。
そして、私と麻紀さんは新橋に向かう路面電車の中にいた。
「お姉様は休日も巫女装束なのですね」
「あぁ、この恰好の方がしっくりきてな」
流石にサーベルは持っていないが、天使の御加護が得られるとする巫女装束であった。しかし、街の人々は下を向いて暗い感じだ。浮遊島の天使と言うのはそこまで偉大な存在なのかと思う。
落下天使か……。
私がそんな事を思いながら路面電車に揺られていると新橋に着く。新橋の駅から歩いて少しの所にアイスクリームショップがあった。中に入ると、基本、バニラアイスしか売っておらず心配になる。しかし、私の心配とは関係なく注文したバニラアイスは美味しいモノであった。
「これは上機嫌モノだぞ」
思わず呟きが漏れて、私が興奮していると。麻紀さんも幸せそうだ。
「来てよかったですね」
「あぁ、このアイスクリームは美味しいな」
きっと、作り方がシンプルなのでアイスの味が大きく出ているのであろう。そんな考察をしながらサジを進めるのであった。
新橋からの帰り道に小腹空き、洋食屋でカレーライスを食べる事にした。洋食屋はモダンな作りでカレーライスが売りの店であった。
カレーライスの具は柔らかい牛筋に大きめのジャガイモだけのシンプルなモノである。
「お姉様、その珈琲は?」
「あぁ、カレーライスとセットメニューになっていた」
あああああああ、見逃した。私も珈琲が飲みたい。ここは素直に珈琲を追加注文する。
「あら、珈琲の追加注文かい?セット価格に変更しとくよ」
私は店主の老婆からありがたい言葉を貰う。
「えへへへ、ありがとう」
「気にしなくいいよ」
と、言って、珈琲の粉にお湯を注ぐ。こうばしい香りが上がり小さなカップに珈琲が入り、私の元に届く。
「お姉様、この店は当たりですね」
私の言葉に静かに頷くお姉様であった。
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