第46話 父親の誕生日
3/3は父親の誕生日でした
昭和13年生まれですから86歳ですね
免許自体は自分自身で6年前に返納をして、それからはずっと自転車で買い物や用事を済ませてくれています
図書館や買い物も全て自転車で動くので周囲に対して危険だと思い、ヤマハの電動自転車を用意して保険にも加入して乗って貰っています
父は記憶力の塊のような人間でして、自身と周囲が何年何月何日の何曜日の何時頃に何をしたか、とか、何かを食べた、とか数字も根拠も異常なほどに記憶していて、しかもスラスラと立て板に水の勢いで喋るので流石にそんなに覚えていないだろうと何度も何度も今までに調べて見た事がありますが全て合っています
本当に才能は使われないとこんなに勿体ないのだとつくづく感じています
人付き合いや話をするのが大好きなので違う道を選択していたら息子である私自身も今とはまるで違う人生だったのかも知れませんね
そんな父親ですが、過去に骨董品屋に騙されて二束三文の刀を売りつけられてしまいました
刀剣ブームの頃でしょう
昭和48年頃だったと私は記憶していますが、50年も前に50万の高値で売りつけられています
無銘の古刀で定寸はあるものの、出来は良くなくて、峯側に無数のしなえがついています
想像ですが再刃の際に出来たのではないかと推察します
そんな刀ですから当然価値はありません
出来からして大和あたりの品物だと思いますが、本人がどこかにしまってしまい封印してしまっているので数十年見ていません
騙された事に気付いた父が当時、返品を強く求めても店主は知らぬ存ぜぬで結局50万円の大金は戻らず終いでした
この当時の50万は今ならば500万以上するでしょうね
実際、平屋の30坪位の日本住宅が200万で建築出来た時代ですから相当なモノです
今ならばヤフオクや市に出したとて値段は難しいでしょう
記憶力が良すぎるが為に、父親の頭には当然深く強く、傷として刻み込まれていると思うととても可哀想な気がします
そんな事もあって、20年近く前に現代刀匠に刀の作成を依頼して父親の為銘を入れてもらい一振りをプレゼントしたことがあります
ただ、それとて過去のキズを塞ぐには十分では無かった事だと思います
骨董品屋に限らず、基本的な商売をするつもりが無い人間には商いをして欲しくは無いですし、警察も安易に古物商の免許を発行しないで貰いたいものです
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